日本マイクロソフトから、SurfaceシリーズのクラムシェルノートPC新モデル「Surface Laptop 5」が登場。シリーズには、13.5型ディスプレイ搭載モデルと15型ディスプレイ搭載モデルが用意されているが、今回はその中から13.5型モデルを取り上げ、ハード面を中心に見ていくことにする。
Surface Laptop 5は既に発売中で、直販価格は15万1,580円から。今回の試用機と同じ仕様では25万1,680円となる。
Surfaceシリーズらしい板状デザインを踏襲
Surfaceシリーズといえば、薄型でフラット、直線的で、極限まで無駄をそぎ落とした板状のデザインを採用する点が大きな特徴だ。それはクラムシェルノートPCの「Surface Laptop」シリーズも同等で、Surface Laptop 5のデザインは従来モデルのSurface Laptop 4とほぼ同等となっている。
ディスプレイを閉じた状態では、フラットな天板に直線的に切り落とされた側面、ゴム足以外に凹凸のない底面と、とことんまで板状デザインが追求されている。目立つ部分といえば、天板中央のWindowsロゴシルエットぐらいで、極限まで無駄をそぎ落としたデザインとなっている。この一貫したデザインへのこだわりは、ある意味潔さを感じる部分ででもある。
カラーは、プラチナ、セージ、ブラック、サンドストーンの4色で、プラチナにはキーボード面にアルカンターラ素材を装着したモデルも用意される。なお、今回の試用機はプラチナだった。
サイズは308×223×14.5mmと、従来モデルと全く同じ。ディスプレイベゼルの幅が、近年のノートPCと比べてやや太く、ベゼル幅を狭めればもっとサイズを小型化できるはずで、そこは少々残念だ。
筐体素材はアルマイト処理を施したアルミニウム合金を採用。金属の質感を活かした筐体は、高級感が感じられる。ただし重量は公称で1,272g、試用機の実測で1,308gと、やや重い。実際に手にしてみると、筐体の薄さもあってか、見た目以上にずっしり重く感じる。13.5型モデルはモバイル利用もターゲットになっていることを考えると、できればもう少し軽量化にも力を注いでもらいたいと感じる。
第12世代Coreプロセッサ採用で性能を強化
今回のSurface Laptop 5試用機の仕様は、以下の表にまとめたとおりだ。基本的には、従来モデルをベースとしつつ、搭載するプロセッサを強化したモデルとなっている。
【表1】Surface Laptop 5 135インチ(試用機)の主な仕様 | |
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プロセッサ | Core i7-1265U Pコア:2コア/4スレッド/ブースト時最大4.8GHz Eコア:8コア/ブースト時最大3.6GHz スレッド数:12 |
メモリ | 16GB |
内蔵ストレージ | 512GB PCIe 3.0 SSD |
ディスプレイ | 13.5型PixelSenseディスプレイ、2,256×1,504ドット コントラスト比 1,300:1 Dolby Vision IQ対応 10点マルチタッチ、Surface Pen、グレア |
無線LAN | IEEE 802.11ax 2x2(Wi-Fi 6) |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
キーボード | 日本語、約19mmフルピッチ、キーストローク約1.5mm キーボードバックライト |
カメラ | 720p HD Webカメラ |
生体認証 | 顔認証IRカメラ |
インターフェイス | Thunderbolt 4×1 USB 3.0×1 3.5mmオーディオジャック |
OS | Windows 11 Pro 64bit |
駆動時間 | 約13.8時間 |
サイズ/重量 | 308×223×14.5mm/約1,272g |
CPUには第12世代Coreプロセッサを採用しており、試用機に搭載されていたCore i7-1265Uに加えて、Core i5-1245U搭載モデルも用意。従来モデルではRyzen APU搭載モデルも用意されていたが、Surface Laptop 5では第12世代Coreプロセッサ搭載モデルのみが用意される。また、全モデルともIntel Evoプラットフォーム準拠となる。
搭載メモリ容量は8GBまたは16GBで、試用機では16GB搭載。基本的には16GB搭載がお勧めだが、できれば32GBまで搭載できるとよかった。なお15型モデルでは32GBまで搭載可能となっている。内蔵ストレージ容量は256Gbまたは512GBのPCIe 3.0 SSDで、こちらも15型モデルのみ1TBまで搭載可能だ。
無線機能は、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6、2×2)準拠の無線LANとBluetooth 5.1を標準搭載。なお、無線LANはハードウェア的には6GHz帯域を利用するWi-Fi 6Eをサポートしているが、日本では未対応だ。
生体認証機能は、Windows Hello対応の顔認証カメラを搭載する。個人的には、指紋認証センサーも同時搭載してもらいたいと思うが、利便性で大きな支障はないだろう。
Webカメラは720p対応となる。テレワークが浸透し、Web会議を行なう場面も増えていることを考えると、できればフルHD対応のWebカメラを搭載してもらいたいところだ。
また、近年のPCでは、テレワークに対応するように、カメラで捉えた映像の明るさや色合いなどを補正する機能や、マイクで拾った音声のバックグラウンドノイズを除去するノイズキャンセリング機能を搭載するものが増えている。ただSurface Laptop 5はいずれも非搭載。このあたりも少々残念だ。
側面ポート類は、左側面にUSB 3.0、Thunderbolt 4、3.5mmオーディオジャックを、右側面にSurfaceシリーズでおなじみのSurface Connectポートをそれぞれ用意。Thunderbolt 4はUSB PDをサポートしており、USB PD対応ACアダプタなどからの給電が可能だ。
従来モデルと比較して、USB Type-CがThunderbolt 4に対応した点は大きな進化で、拡張性が大きく高まったと言っていいだろう。とはいえ、ポート類は必要最小限で、右側面には専用ACアダプタ用のSurface Connectポートしか配置されない点は改善の余地があるだろう。少なくとも右側面にもThunderbolt 4を配置するなどの配慮が欲しいところだ。
アスペクト比3:2のタッチ/ペン対応ディスプレイを搭載
ディスプレイは、2,256×1,504ドット、アスペクト比3:2の表示に対応するPixelSenseディスプレイを搭載する。一般的な16:9ディスプレイに比べると、圧倒的に縦の表示領域が広く表示解像度が高いこともあって、複数のアプリを同時利用する場合はもちろん、ExcelやWordなど縦の情報量の多いアプリも快適に利用できる。
パネルは液晶で、パネルの種類は非公開ながら、大きく視点を移動させても明るさや色合いの変化をほとんど感じず、IPSパネル同等の十分な視野角を確保。コントラスト比は1,300:1。また、10点マルチタッチ対応のタッチパネルと、専用スタイラスペン「Surface Pen」対応のペン入力もサポートしている。
発色性能については非公開だが、従来モデル同様にかなり鮮やかな発色が確認できる。このあたりは、環境や表示コンテンツに応じて明るさや発色を自動的に最適化する「Dolby Vision IQ」に対応するとともに、ディスプレイ表面は光沢処理となっている点も大きく影響しているだろう。また、カラープロファイルをDCI-P3相当のEnhancedとsRGBに切り替えられる点も従来同様だ。
反面、外光の映り込みはかなり多い。オフィスなどでは天井の照明が写り込んで、特にテキスト入力が中心の作業で気になりそうだ。
なお、ディスプレイの表面ガラスには、米国Corning製強化ガラス「Gorilla Glass 5」(アルカンターラ素材採用モデルはGorilla Glass 3)を採用しているため、タッチやペン操作を行なう場合でも安心だ。
キーボードは標準的だが電源ボタンの仕様は改善の余地あり
キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプの日本語キーボードを搭載。配列など、仕様は従来モデルから変わっていない。
主要キーのキーピッチは約19mmフルピッチを確保。ストロークも約1.5mmと、薄型ノートPCとして標準的な深さだ。ただ、Enterキー付近の一部キーでピッチが狭くなっている点と、カーソルキーの「↑」、「↓」が1つのキーを分割する形で搭載している点は少々気になる。
キータッチは、堅すぎず柔らかすぎずといった感じで、適度なクリック感もあり打鍵感は良好だ。そして、打鍵音が静かな点は特筆すべき部分で、多少強めにタイピングしてもほとんどうるさいと感じない。これなら静かな場所でも安心してタイピングできるだろう。
また、標準で3段階の明るさ調節に対応するキーボードバックライトも搭載。これにより、暗い場所でも快適なタイピングが可能だ。
ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。かなり面積が広く、ジェスチャー操作も含めて操作性は良好だ。ただ個人的には、クリックボタンの音がやや大きいと感じる点は残念な部分。キーボードの静音性が優れることもあり、タッチパッドのクリック音も静音化してほしい。同時に、タッチパッドの搭載位置がキーボードのホームポジション中心となっていない点も残念な部分。デザイン優先で本体中央に搭載しているが、ここは利便性を優先してほしい。
そしてもう1点、強く改善してほしいと感じる部分が、電源ボタンだ。電源ボタンはDelキーの左に搭載しており、他のキーと同じ力で押せてしまう。そのため、タイピング中に間違って電源ボタンに触れてしまい。スリープ移行してしまうことが何度かあった。
近年は、この位置に電源ボタンを搭載するPCが増えているように感じるが、本来であれば電源ボタンはキーボードから離れた場所に配置すべきものだ。どうしてもこの位置に搭載したいのであれば、かなり強い力で押さない限り反応しないようなボタンにするなどの配慮が必要と感じる。この点は、早急な改善を期待したい。
CPUのパフォーマンスが申し分なく引き出せている
では、簡単にベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2574」、「3DMark Professional Edition v2.25.8043」、Maxonの「Cinebench R23.200」の3種類だ。比較用として、CPUにCore i7-1255Uを搭載するASUSの「ExpertBook B9 B9400CBA-KC0218WS」の結果も加えてある。
結果を見ると、多くの項目でCore i7-1255U搭載のExpertBook B9のスコアを上回っていることが分かる。Surface Laptop 5搭載のCore i7-1265Uのほうが動作クロックの上限が高く、上位のプロセッサということもあるが、薄型筐体ながら発熱をしっかり放熱できており、CPUのパフォーマンスがしっかりと引き出せていると言っていいだろう。
また、高負荷時の空冷ファンの動作音も、それほどうるさいものではない。風切り音などが耳にはしっかり届くが、うるさいと感じるほどではないため、これなら静かな場所で利用する場合でもそれほど気にならないはずだ。
続いてバッテリ駆動時間だ。Surface Laptop 5 13.5インチの公称の駆動時間は最大18時間。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%、無線LANをオン、キーボードバックライトをオフに設定し、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測したところ、13時間57分を記録した。
テストでこれだけの駆動時間ということは、実利用でも10時間近くは問題なく動作すると言える。そのため、1日外出して利用する場合でも、よほど高負荷な作業を長時間続けない限り、電源不要で問題なく利用できるはずだ。
もう少し軽いといいが、完成度は高い
今回Surface Laptop 5 13.5インチを試用してみたが、Surfaceシリーズらしいシンプルで上質なデザインはさすがという印象。加えて、第12世代Coreプロセッサ採用による性能面や、優れた表示性能を備えるアスペクト比3:2のPixelSenseディスプレイなど、スペック面も申し分ない。
モバイルノートPCとして考えると重量はやや重く、拡張ポートの少なさや、キーボードの電源ボタンの配置など、気になる部分もある。それでも、全体的な完成度は十分に優れると感じる。そのため、モバイル性能はそこまで重視しないものの、ハイブリットワークに対応するためにある程度のモバイル性を備え、性能面やデザイン性に優れるノートPCを探しているなら、十分検討に値する製品と言える。
からの記事と詳細 ( 【Hothotレビュー】 第12世代Coreになってパワーアップした「Surface Laptop 5」 - PC Watch )
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