ゲノム検査スタートアップのVarinos(バリノス、東京都江東区)が手掛ける「子宮内フローラ検査」が、2022年6月、厚生労働省により「先進医療」に認められた。この検査は子宮内の細菌叢(フローラ)を調べることで不妊の原因を探り、治療の成功率を高めようというもの。世界に先駆けて独自のサービスを開始したのが2017年12月だから、5年足らずでのスピード認定となった。
また同社は今夏、第三者割当増資で6億円を調達し、創業からの累積調達額は総額で11億円に。「世界で勝負できる日本発の技術として評価していただいた結果と自負している。ゲノム解析ができるだけでなく、新しいゲノム検査をゼロから創ることができるのが当社の強み」と、同社代表取締役CEOの桜庭喜行氏は語る。目下、海外展開に向けた準備も進行中だ。さらに独自技術を応用した新規ゲノム検査の開発にも乗り出す。子宮内フローラについては、2019年に当サイトで紹介した(関連記事:子宮内フローラで不妊治療の成功率を高める)。今回は、その続報をお届けする。
米国ラトガース大学の研究で、以前は無菌と考えられていた子宮内に細菌が存在することがわかったのが2015年。さらにその翌年には、米国スタンフォード大学の研究で、子宮内に善玉菌のラクトバチルス菌が少ないと体外受精の成功率が低下することも報告された。Varinosはこれらの最新知見を基に、子宮内の菌環境を調べる新検査法の開発にいち早く着手。2017年には、子宮内から採取した検体に含まれる細菌のDNAを次世代シーケンサーで網羅的に調べる「子宮内フローラ検査」のサービスを開始した。
子宮内の菌環境が不妊治療の成否を左右することが明らかになり、生殖医療の現場では、同社の子宮内フローラ検査を導入する医療機関が年々増加。現在では全国250施設を超え(図1)、総検査件数は約2万件に上る。サービス開始から5年間でここまで成長できた理由を桜庭氏は次のように話す。
「日本では現在、5.5組に1組のカップルが不妊治療を受け、全出生児の14人に1人が不妊治療により誕生しています。不妊治療の進歩は目覚ましいですが、かといって誰もが希望通りに妊娠できるわけではありません。例えば体外受精の場合、染色体に問題のない受精卵を子宮に戻しても成功率は7割程度。これを100%に近づけることが生殖医療の大きな課題であり、現場の先生たちの願いでもあります。子宮内フローラ検査は、受精卵を受け入れる子宮側の菌環境を知ることを通して妊娠率向上に貢献します。不妊治療の成功を後押しできる、役に立つ検査であることを現場の先生方や患者さんたちに認めていただいたからこそ、多くの医療機関で採用されるようになったと考えています」
からの記事と詳細 ( 先進医療にスピード認定された子宮内フローラ検査が秘める可能性 - 日経BP )
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