30日の米株式相場は反落。ここ約10年余りで最悪となった2022年の取引を終えた。S&P500種株価指数とハイテク銘柄中心のナスダック100指数は年間では2008年以来の大幅安。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 3839.50 | -9.78 | -0.3% |
ダウ工業株30種平均 | 33147.25 | -73.55 | -0.2% |
ナスダック総合指数 | 10466.48 | -11.61 | -0.1% |
取引終盤に押し目買いの動きが強まり、S&P500種は下げ幅を縮小したが小幅反落。ナスダック100指数は今年1年間で3分の1の価値を失った。金利上昇がテクノロジー株に大きく影響したことが背景にある。
B.ライリー・ウェルスのチーフ・マーケット・ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「株式と債券の両方が同時に下げるこうした市場環境はかつて経験したことがなかった」と指摘。「良いニュースは、この1年が間もなく終わること。悪いニュースは、2023年が少なくとも年初の数カ月は起伏の激しい展開になり得るということだ。米金融当局がインフレと闘う中、23年は景気トレンドが軟化する可能性が高いが、緩やかなリセッション(景気後退)で済めば年後半の株価動向改善につながる可能性もある」と述べた。
米国債
米国債は下落し、あらゆる年限で利回りが上昇。10年債利回りは一時7週ぶり高水準を付けたほか、5年債利回りは11月21日以来の4%台となった。米国債はこの日、午後2時までの短縮取引だった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 3.96% | 6.47 | 1.7% |
米10年債利回り | 3.87% | 6.03 | 1.6% |
米2年債利回り | 4.43% | 6.43 | 1.5% |
米東部時間 | 16時54分 |
シット・インベストメント・アソシエーツのシニアポートフォリオマネジャー、ブライス・ドティ氏は「経済活動の減速に加え、インフレで誇張された利益が消失するのに伴い、株式は苦戦するだろうが、債券は利回りのピークアウトで価格上昇の可能性がある中、まずまずの収益を上げるだろう」と指摘。「米金融当局の利上げはほぼ終了しており、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では利上げはない見通しだ。インフレは減速しつつある」と話した。
外為
外国為替市場では円が主要10通貨に対して全面高。日本銀行がいずれ超緩和的な金融政策を転換するとの見方が背景にある。対ドルでは一時1.7%高の130円78銭を付けた。一方、ドル指数は下げて、6月以来の安値となった。
ただ、円は対ドルで年間ベースでは10%超下げている。他国・地域の中銀がタカ派姿勢に転じる中、日銀が緩和的な金融政策を維持していたためだ。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1246.60 | -4.76 | -0.4% |
ドル/円 | ¥131.11 | -¥1.92 | -1.4% |
ユーロ/ドル | $1.0702 | $0.41 | 0.4% |
米東部時間 | 16時54分 |
ナショナルオーストラリア銀行(NAB)のシニアFXストラテジスト、ロドリゴ・キャトリル氏は「日銀のイールドカーブ・コントロール政策の終了は時間の問題で、日銀はこの政策をいずれやめなくてはならないというのが当社の見解だ。これを一つの主因として、当社ではドル・円が2023年に120円に向かうとみている」と指摘。「日本の保険会社や海外投資家にとって、日本国内の利回りが一段と魅力的に見え始める中、想定される円資金のフローも円の支えになる可能性が高い」と述べた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は大幅反発し、バレル当たり80ドル台を回復。投資家の関心は中国経済が2023年に持ち直す可能性に向けられている。
22年はロシアのウクライナ侵攻で世界の需給が一変し、原油価格は急騰。しかしインフレを抑え込むための金融引き締めが成長を抑制するとの懸念にくわえ、中国需要の先行き不透明感から、ピークの水準からは大きく下げて1年を終えた。
北海ブレント原油の年間レンジは64ドルと、2008年以来の大幅。週間ベースでは過去最大の値動きとなったこともあった。こうした変動の激しさから取引が手控えられて流動性が低下し、値動きは増幅した。
中国は現在、感染者急増への対応に追われ、世界的な流行再来への懸念は強まっている。ただ、いずれ中国での需要は復活するとの楽観的見方もある。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は、前日比1.86ドル(2.4%)高の1バレル=80.26ドルで終了。年間では3.27ドル上昇。ロンドンICEの北海ブレント3月限は3.65ドル高の85.91ドルで終了した。年間では6.59ドル上昇した。
金
ニューヨーク金相場は小幅続伸。2022年は変動性の高い年だったが結局、年始水準近くで終えた。3月に過去最高値を付けた後は、積極的な米利上げを背景に7カ月連続で低迷し、ここ数週間ほどは米金融政策の緩和転換期待から値を戻しつつあった。
最近の金価格を支えたのは、インフレ抑制を示す米経済統計を理由に金融引き締めが減速するとの期待だった。中国が「ゼロコロナ」政策を急転換したことからドルが下げ、これも金の投資妙味を高めた。
2023年の金価格は、米国の物価圧力が和らぐペースと経済の健全性が主な動因になるとみられる。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は前日比20セント(0.1%未満)高い1オンス=1826.20ドルで終了。年間では約1%の下落。
原題: US Stocks Suffer Worst Year Since Financial Crisis: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Close Lower, Follow Euro Selloff to End Crushing Year(抜粋)
Yen Gains as Traders Bet on Eventual BOJ Pivot: Inside G-10(抜粋)
Oil’s Modest Annual Gain Belies a Year of Staggering Volatility(抜粋)
Gold Set to End 2022 Back Where It Started on Bets of Fed Pivot(抜粋)
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