オーストラリア研究会議励起子科学分野のセンター・オブ・エクセレンス(ARC Centre of Excellence in Exciton Science)は、同センターの研究員ジェイミー・レアード(Jamie Laird)博士が、ペロブスカイト太陽電池の欠陥を見つけるための、世界初の技術を用いた検査装置を発明したと発表した。8月24日付け。この研究成果は学術誌 Small Methods に発表された。
ペロブスカイト太陽電池はシリコン系太陽電池に匹敵する効率を持ち、より安価に製造でき、柔軟性に優れているという利点を持つ。しかし商用化に向けては、熱や光、湿度、酸素に晒された際の不安定性が課題となっている。
レアード博士の開発した装置は、顕微鏡と特殊なレーザーを組み合わせ、太陽電池セルの内部の欠陥の画像やマップを生成し、長期的に使用した場合に電力のロスや効率性の低下が生じる箇所を、根拠となるデータと共に示す。
顕微分光法(micro-spectroscopy)を用いたこの画期的な技術は、レアード博士が鉱物を分析するために趣味で開発した装置が基になっている。博士は同センターへの着任後に、ペロブスカイトの課題をより深く理解するためにこの装置を利用できることに気付いたという。
既にモナシュ大学(Monash University)や英オックスフォード大学(Oxford University)の研究者が、この装置を用いた試作品の検査を依頼している。さらに、衛星等の宇宙機を開発するシドニー大学(University of Sydney)のチームとの共同研究も予定されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
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