【ロンドン=篠崎健太】英イングランド銀行(中央銀行)は22日、保有する英国債の市場での売却を始めると発表した。政策金利は0.5%引き上げて年2.25%にした。利上げは7会合連続で、8月上旬の前回に続いて通常の2倍の幅で実施した。インフレの圧力はしばらく根強いとみて、物価上昇を抑えるため金融引き締めを加速する。
21日まで開いた金融政策委員会で、投票権を持つ9人のうち5人が0.5%の利上げに賛成した。利上げ幅について他の3人はより大きい0.75%、1人は0.25%が適切だとそれぞれ主張し、ベイリー総裁による0.5%の提案に反対した。政策金利の水準は2009年初め以来13年半ぶりに2%台へ乗せた。
今回の会合では、量的緩和策として過去に買い入れた国債の売却を始めることを全会一致で決議した。国債の積み上げは21年末に終え、22年3月から満期を迎えた分の再投資をやめて残高を落とし始めている。売却にも乗り出して金融緩和の手じまいをより積極的に進める。
イングランド銀行は9月21日時点で約8380億ポンド(約135兆円)の英国債を保有している。償還と市場売却を合わせて、向こう1年間で残高を800億ポンド減らして7580億ポンドとする計画だ。売却のための初回の入札は10月3日に実施する。国債の市場売却に踏み切るのは、今回の引き締め局面では主要中銀で初めてとなる。
英国では消費者物価指数(CPI)の上昇率が7月に前年同月比で10%を超えた。8月はガソリンの値下がりを受けて9%台後半へやや下げたが、食品やエネルギーなどを除く「コア」の伸び率は拡大が続いた。声明文は「労働市場は引き締まっており国内のコスト上昇圧力は高止まりしている」と懸念を示した。
トラス政権が光熱費の上昇を抑えるエネルギー高騰対策を打ち出したことを受け、物価のピーク予想は引き下げた。前回の8月上旬時点ではCPI上昇率が「10~12月期に13%を上回る」とみていたが、今回は「10月に11%をやや下回る」とした。だが向こう数カ月は10%を超す水準に高止まりするとみている。
声明文では今後の政策運営について「物価を2%目標に安定的に戻すために必要なあらゆる措置をとる」と改めて明記し、インフレの動向次第で「強力に対応する」と強調した。
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