【ワシントン=高見浩輔】米連邦準備理事会(FRB)は22日開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決めた。米銀の相次ぐ破綻を受けていったん政策金利を据え置くとの見方もあったが、高インフレの抑制を優先した。金融不安の沈静化に取り組みながら、同時に銀行収益を圧迫する金融引き締めを続ける難しい局面に入る。
政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利は4.75〜5.0%と15年半ぶりの水準になる。利上げは2022年3月のゼロ金利解除以降、9会合連続となった。FRBは22年12月から徐々に利上げ幅を縮め、23年2月の前回会合で通常のペースである0.25%としていた。
今回、保有する米国債などの残高を減らす量的引き締め(QT)は従来方針を修正しなかった。
同時に公表した経済見通しでは、FOMC参加者が見込む23年末の政策金利が中央値で5.1%となった。22年12月に出した前回見通しと変わらなかった。声明文では今後の利上げについて複数回を示す「継続的な」という表現がなくなった。
24年末の政策金利の予想は4.3%となり、前回見通しから0.2ポイント上方修正された。大幅な利下げを見込んでいた金利先物市場の見立ては再び修正を迫られる可能性もある。
高インフレが沈静化に向かいつつあるとは言いがたい。経済見通しでは23年末の個人消費支出(PCE)価格指数の前年比上昇率が3.3%と前回から0.2ポイント引き上げられた。1月の5.4%からは鈍化するものの、目標である2%を大幅に上回る水準だ。
パウエル議長は2月1日に開いた前回会合後の記者会見で「ディスインフレ(インフレ沈静化)のプロセスが始まった」と強調した。その後公表された雇用統計などが予想を大幅に上回る強さだったため、発言のトーンを修正。3月7日には米連邦議会上院での証言で、いったん縮小した利上げ幅を再び拡大する可能性を示唆した。
その後は金融不安で再び状況が一変する。10日に米銀のシリコンバレーバンク(SVB)、12日にはシグネチャーバンクが破綻。FRBは米財務省による預金の全額保護に合わせて12日に緊急融資枠を新設した。19日には金融不安の広がりに対応して欧州中央銀行(ECB)など6中銀と連携してドル供給の強化も打ち出した。市場では大幅利上げ予想が消滅し、FRBが利上げを継続するかどうかに関心が高まっていた。
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