11月10日にも特別国会が招集され、第2次岸田文雄内閣が発足する見込みである。第2次岸田内閣の最初の仕事は、経済対策の取りまとめとなろう。 経済対策については、岸田首相が自民党総裁選時に数十兆円規模の経済対策を策定することを掲げていた。ちなみに、衆議院選挙時に、自民党が出した選挙公約には、「数十兆円規模の経済対策」とは一言も盛り込まれていなかった。 経済対策には、追加の新型コロナ対策や、Go Toキャンペーンの再開、個人や企業を対象とした給付、ポストコロナを見据えた経済刺激策などが盛り込まれると予想されている。
■公明党が掲げた子育て世帯への一律給付 個人向けの給付として、衆院選時に、公明党は18歳以下の子どもに1人10万円の一律給付を公約に掲げていた。一律の給付では、高所得世帯の子どもにも給付することとなり、予算がかさむ割には所得格差を助長することになるとして批判がある。 これに対して、所得制限を付けて給付するとしても、所得制限以下なのか否かを行政が見極めなければならず、給付事務が繁雑になるという難点がある。
そこで、ひとまず一律で給付した後で、高所得者ならば所得税として課税すれば、低所得者は給付を受けたままにしつつ、高所得者には課税する形で返してもらえるから、所得格差は是正できるという考え方がある。 はたして、一律に給付した後に課税することが、わが国でできるだろうか。 確かに、給付金を課税対象とする仕組みは、わが国にもある。例えば、コロナ禍においても、収入が減少した事業者に対して1事業者に最大200万円を支給した持続化給付金や、休業要請に応じた事業者に対して支給された休業要請協力金は、課税対象となっている。これらを受け取った事業者は、納める所得税を計算する際に、これらの給付額を所得に算入しなければならない。
だから、「給付金を課税対象にすることは可能である」と思ってしまう人も多いだろう。 しかし、税制や税務を深く知っていれば、なぜ持続化給付金や休業要請協力金なら課税対象にできるかが理解できる。これらの給付金が課税対象にできる理由は、受給した個人はほぼ、確定申告するからである。 具体的に言えば、課税対象としたこれらの給付金は、大半を事業所得や雑所得として得ている人に配られたのであって、給与所得しか得ていない人には配られていない。給与所得しか得ていない人の大半は、確定申告をせず、所得税を源泉徴収されて納税が済んでいる。
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