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東芝が英投資会社の CVCキャピタル・パートナーズから買収提案を受けたことが7日、明らかになった。提案はまだ初期段階で、価格の妥当性や国の審査など ハードルは高い。一方、3月の東芝の臨時株主総会では、会社側が反対したファンドによる提案が可決されており、こうした攻防の中での買収案は企業の説明責任はどうあるべきかという問題提起にもつながっている。
東芝は7日朝、CVCから6日に初期提案を受けたと発表。今後詳細情報を求めて慎重に検討し、開示すべき事項が発生した場合は速やかに公表するとした。東芝幹部が匿名を条件に 明らかにしたところによると、提示された株式公開買い付け(TOB)による買い付け価格は1株当たり約5000円。今後、取締役数人からなる特別委員会を設置し、CVCの提案内容について協議するという。
企業であればいつでも買収提案を受ける可能性はある。ただ、東芝は3月18日の臨時総会で、筆頭株主の エフィッシモ・キャピタル・マネジメントが提案した昨年の定時株主総会の運営について第三者による調査を実施する議案が賛成多数で 可決されたばかり。また、今年1月に東証1部に復帰し「コンプライアンス強化は終わりのない持続的な取り組み」と、株主らの信頼に応える決意表明をしていた。
エフィッシモが問題提起をした昨年の定時総会で、車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)の取締役再任への賛成は57.20%にとどまっており、株主からの経営に対する圧力は鮮明になっていた。
株主提案の可決を受けた調査結果は、今後開催される株主総会で報告されることになっている。しかし、企業法務に詳しい牛島信弁護士は、もし買収が成立し、総会までに非上場化の手続きが終わると仮定すると「調査、報告を決議通りに続行するかは新しい株主の意向にかかってくるので、行われない可能性がある」と指摘する。
牛島氏は、取締役の大半を社外役員が占めるなど先進的なガバナンスを備えた東芝が「株主の信頼を得られなかったことがショックだった」と述べる一方、仮に非上場化した場合は「新たな株主の声を聴く必要はあるが、上場企業として少数株主が絶えず入れ替わる状況ではなくなり、経営に専念できる面もある」と利点を指摘した。
CVCは車谷社長の古巣
また、米アクティビストファンドの RMBキャピタルの細水政和ポートフォリオマネジャーは「一番気になるのは車谷社長とCVCの関係。以前の所属先ということで、人的関係の観点から利益相反が疑われ得るのでは」と話す。車谷社長はCVC日本法人の会長兼共同代表を経て2018年に東芝社長に就任している。RMBは東芝株を所有していない。
東芝が設置予定の特別委員会について、細水氏は「TOBに応募するかの判断材料として、提案価格の妥当性を独自に算定するほか、一部復帰後間もない非上場化の是非などを議論し、その結果を広く一般株主に公開すべきだ」とした。その上で「取締役会は今回の提案を価格の妥当性だけでなく、定性的な観点からも議論を尽くしてほしい。形だけの調査であれば、海外投資家の失望を買うだろう」と述べた。
東芝幹部は、買収提案を受けた7日の取締役会で、今後の東芝にとって何が最善かを確認していくことで意見が一致したと述べた。東芝は15年に不適切会計が発覚、ガバナンス改善に努めてきた経緯がある。上場企業として多くの株主の監視の下でガバナンスを改善していくのか、非上場企業として経営のスピードを上げることを優先するのか。取締役会が下す決断とともにその説明内容にも注目が集まる。
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