低価格ながら充実した性能でここのところ急速に普及しているChromebook。家電量販店などではChromebook専用コーナーをかまえる店も多く、手頃な価格で入手できるモデルが販売直後から完売が続くなど注目を集めている。
今回はChromebookの特徴や購入のさいに注目すべきポイントに加え、現在購入できるモデルのなかからおすすめの製品を取り上げてみた。スペックが似ている製品が多く違いを見極めるのが難しいChromebookだが、細かなスペックの違いが使い勝手に大きな影響を与えることもある。お気に入りのChromebookと出会うための参考になれば幸いだ。
Chromebookの基本的な特徴をおさらい
まずは基本的なChromebookの特徴を改めて簡単に説明する。
ブラウザはPC相当、ブラウザ以外のPCアプリは利用不可
Chromebook最大の特徴でもあるChromeブラウザは、PCの使い勝手とほぼ遜色ない。普段からChromeブラウザを使い慣れているユーザーであれば、PCとほとんど変わらず使うことができる。
一方でChrome以外のPC向けアプリは非対応。FirefoxやEdgeといった他ブラウザはもちろんのこと、PhotoshopやMicrosoft Officeといったアプリも利用できない。
アプリについては後述するAndroidアプリで代替できる部分もあるが、PC相当の機能ではないため、できることに制限があることは理解しておきたい。
すべてのAndroidアプリが利用できるわけではない
現行のChromebookはGoogle Play Storeに対応しており、Androidスマートフォンやタブレット向けのアプリをインストールできる。ただし、Androidアプリとの互換性は完全ではないため、利用できないアプリも多い。
一例を挙げると電子書籍やドキュメントなどは問題ないが、動画アプリは一部動かないものがある。また、そもそもの仕様としてIMEアプリはキーボード装着時に利用できない。
上記の理由から、ChromebookをAndroidタブレットとして利用しようと考えると制限も多い。メイン用途はChromeブラウザであり、Androidアプリはあくまで補助的な役割として捉えておくことをおすすめする。
Chromebookを選ぶために注目しておきたい5つのポイント
メーカーごとにUIのカスタマイズなどが行なわれるAndroidと異なり、Chromebookは基本的にほぼ素の状態。OSやアプリケーションでの違いはほとんどなく、端末の個性がハードウェアのスペックに集中するため、どの製品を選べばいいかわかりにくい面もある。
そのため本稿では、購入するさいに気をつけておきたいポイントを5つ挙げてみた。下記の点に注意しながら、プロセッサ性能やUSBポート数、価格などの要素を踏まえてどの端末を購入するか検討してほしい。
タッチ対応
現行のChromebookは基本的にタッチ操作に対応しているが、低価格モデルのなかにはタッチ非対応の製品も存在する。
タッチ非対応モデルの場合、Androidアプリはタッチパッドで操作することになるが、アプリは基本的にAndroid向けに開発されているため、タッチ操作を前提としたインターフェイスになっており、Chromebookでの操作性に難があることも多い。
Chromeブラウザをメインの用途とするならキーボード中心の操作でも十分だが、Androidアプリを活用するならタッチ操作が便利だ。Androidアプリをどのくらい活用するかがタッチ対応モデルを選ぶかどうかの決め手になるだろう。
本体形状
Chromebookの形状は、ノートPCのように折りたたむ「クラムシェル」のほか、クラムシェルのディスプレイが360度回転する「コンバーチブル」2in1と、本体とキーボードを取り外せる「キーボード着脱式」2in1の3つに分類できる。
こちらもタッチ対応同様、Androidアプリを操作するのであれば、タブレットのように扱えるコンバーチブルか着脱式がおすすめだ。
コンバーチブルは好きな角度でディスプレイを固定でき自由度が高いが、キーボードも含むため本体が重い。一方の着脱式はタブレット的に利用するさいにキーボードを外せるため本体が軽いが、そのぶんキーボードの操作性やディスプレイ確度などに制限があるという違いがある。
本体ストレージとSDカード
ChromebookはOSの容量でストレージの30GB弱を使用するため、32GBモデルのChromebookは追加アプリのインストールが難しく、ほぼChromeブラウザのみ利用することになる。あとは保存するファイルの容量にもよるが、64GBあれば一般的な利用は問題なく、動画や写真など大容量のファイルを保存するなら128GB以上の容量がほしい、というのが目安だ。
データは基本的にクラウドで管理するChromebookはストレージ容量が少なくても運用できるが、動画や写真、ドキュメントファイルなどを大量に管理したい場合はSDカードスロットを搭載しているかどうかもチェックしよう。
ペン対応
Chromebookの一部モデルはペン操作にも対応している。ただし、対応と一口に言っても対応ペンが別売だったり、付属の場合も本体とは別に管理するか、本体に収納できるか、といった違いがある。
取り回しを考えるなら収納型が使いやすいが、ペンそのものの使いやすさは外付けのほうがいい。また、ペンが付属しないモデルはそのぶん価格も安価だ。
まずはペンが付属しないモデルを購入し、必要に応じてペンを購入する、という方法もあるので、「そもそもペン操作に対応しているかどうか」を検討項目に入れるといいだろう。
キーボード
国内モデルは基本的に日本語キーボードだが、一部モデルは英語キーボードのモデルもある。Enterキーの大きさや記号の配列など細かな違いが使い勝手に大きな影響を与えるだけに、キーボードを間違えないよう注意しよう。
おすすめのChromebook 8製品を一挙に紹介
前述のとおり、Chromebookは基本的にハードウェアスペックしか違いがなく、スペック自体も横並びのため差別化が難しい。今回は国内で購入できるモデルのなかで個性的なモデルを紹介したい。
なお、Chromebookは各メーカーごとにプロセッサやストレージの違いでいくつもモデルが用意されており、モデルによっては在庫がない、または販売終了しているものも多い。今回はレビュー執筆時点で、公式サイトまたはそれに準じるECサイトで現在購入できるか、今後購入できそうなものをピックアップしている。
ASUS「Chromebook Detachable CM3」
ASUSの「Chromebook Detachable CM3」は、10.5型で着脱式2in1という、レノボの「IdeaPad Duet Chromebook」のライバル機とも言える存在。違いとしては縦置きもできるスタンドカバー、有線イヤフォンが接続できるオーディオジャック、4,096筆圧検知のペンを内蔵できるといった点だ。
3月に発売された新モデルということもあり価格は5万円台だが、発売記念キャンペーンでは実売で3万円台となる大幅な割引が実施されたこともあり、発売当初は売り切れが続出。すでにキャンペーンは終了しているが、上記の機能に魅力を感じるのであれば、Chromebook Detachable CM3を選ぶメリットがあるだろう。
ASUS「Chromebook Flip C436FA」
ASUSの「Chromebook Flip C436FA」は、コンバーチブルのハイスペック端末。プロセッサはCore i7/i5/i3とPC相当で、ベゼルが小さくディスプレイの表示領域が広い狭額縁、指紋認証、microSDカードスロット、ペン対応など全部入りに近い充実のモデルだ。
ラインナップも幅広く、上記プロセッサのほかメモリは8GB/16GB、ストレージは512GB/256GB/128GBから選択可能。ペンも付属モデルと付属しないモデルが用意されている。
価格は最上位モデルで16万9,800円とPC並みの価格だが、用途がブラウザ中心であれば同価格帯のWindowsよりも快適に操作でき、Androidアプリを使ってタブレット的に利用できるというPCにはないメリットもある。プロセッサ性能やストレージ容量を下げることで価格も下がるため、自分にとって使いやすいバランスのスペックを選ぶといい。
ASUS「Chromebook C223」
ASUSの「Chromebook C223」は2万円台の低価格モデル。スペックは価格なりといったところだが、スペック以外の特徴としては、本体カラーとしてレッドがラインナップされている点だ。Chromebookの本体カラーはシルバーやグレー、ブラックなどが多いということもあり、スペックはそこそこでいいから外観にこだわりたい、というユーザーにはおすすめだ。
日本HP「Chromebook x360 13c」
日本HPの「Chromebook x360 13c」は、コンバーチブルのハイスペック端末。指紋認証や狭額縁などASUS「Chromebook Flip C436FA」と近いスペックだが、最大の特徴はLTEに対応していること。別途LTE回線を契約することで、無線LANのない環境でもテザリングの必要なくインターネットに接続できる。
このほか米国国防総省が定めた耐衝撃規格「MIL-STD-810G」や、視野角を狭くして覗き見を防ぐプライバシーモードも搭載する。
また、LTEやプライバシーモード、MIL-STD-810Gには非対応の「Chromebook x360 14c」(7万4,800円)というモデルもラインナップされている。指紋認証や狭額縁といったスペックは共通ながら価格帯はさらに安価なため、金額感次第でこのモデルを選ぶのもいい。
日本エイサー「Spin 713」
「Spin 713」は日本エイサーのコンバーチブル製品。プロセッサはCore i3を搭載し、ハイスペックというわけではないが、2,256×1,504ドットという高解像度ディスプレイを搭載しているのが特徴。また、映像出力はChromebookのほとんどのモデルがUSB Type-Cのみなのに対し、本機はHDMI端子も搭載しており、耐衝撃規格の「MIL-STD 810G」もサポートしている。
実売価格はストレージ64GBモデルが8万円台半ばで、128GBモデルはAmazon専売で執筆時点では9万円台弱で入荷待ち状態になっていた。せっかくのハイスペックモデルながらストレージが少ないのが気になるが、外部ストレージとしてmicroSDカードが利用できるため、ストレージ容量をアプリではなくデータ中心に扱うなら十分だろう。
レノボ「IdeaPad Duet Chromebook」
レノボの「IdeaPad Duet Chromebook」は、10.1型の着脱式2in1モデル。タブレットのみなら約450gと持ち運びやすく、モバイル向け、セカンドマシンとして使うのに最適なChromebookだ。
スタンドカバーとキーボードでPC的に操作でき、キーボードを外せばタブレット的にも使えるなど柔軟な使い方が特徴。発売から1年弱が経過していることもあり、キャンペーンなどで3万円を切る価格で販売されることもあるなど、手に入れやすい価格も魅力だ。
プロセッサ性能はミドルレンジのスマートフォン程度のため、外出先で軽めの作業をこなすには十分だが、メイン端末として業務をこなすには少々厳しい。外部ストレージもないため、ファイル管理はクラウドストレージを活用するなどの工夫も必要だが、これらの点を補ってあまりあるコストパフォーマンスが魅力だ。
レノボ「IdeaPad Flex550i Chromebook」
レノボ「IdeaPad Flex550i Chromebook」は、コンバーチブル製品としては比較的安価な5万円台で購入でき、ペンも付属するなどコストパフォーマンスに優れたモデル。ビデオ会議などカメラを利用しない場合にカメラを物理的に非表示にできるプライバシーシャッター機能も搭載する。
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