2020年3月にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクで始まった5G。新しい通信技術であり「高速大容量」「超低遅延」「多数端末接続」といったメリットがあるとされている。 【写真】この記事の写真を見る(4枚) コロナ禍によって、様々な産業や業界においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が必要不可欠とされる。アナログで処理されていたものをデジタル化することで、効率性と生産性をさらに向上させようというものだ。菅政権の肝いりで新設されるデジタル庁はまさにDXの象徴と言えるだろう。 そのエンジンとして、5Gが期待されている。例えば、稲刈り機に5G回線と高精度位置情報システムを搭載すれば、収穫直前に台風が襲来した際に、夜間でも自動運転で走行させて収穫し、被害を免れることが可能になる。
大きく出遅れた日本の5G
通信業界のみならず、あらゆる産業に変化をもたらすと期待される5Gであるが、スタートから大きくつまずいた。各キャリアが販売している5Gスマホが全く売れていないのだ。 NTTドコモでは発売4ヵ月で24万台しか売れていない。NTTドコモでは2019年に約1200万台のスマホを販売した実績を考慮すると、いかに5Gスマホが売れていないかがわかる。 ちなみに中国ではすでに1億台を超える5Gスマホが普及している。韓国も500万台という規模だ。すでに日本は5Gで世界に出遅れてしまった。 原因はコロナ禍と、2019年10月に改正された電気通信事業法によって、端末の割引に2万円という上限が設定されたこと。かつて「実質ゼロ円」や「高額キャッシュバック」によってスマホは一気に普及したが、総務省はキャリアの端末割引に制限をかけることで、その原資を使って料金値下げを促進しようとしたのだ。 しかし、端末割引が制限されたことでスマホ購入者が激減。「試しに5Gスマホにしてみようかな」という人も増えず、5Gが一向に普及しないのだ。 今、巷で売れているのはiPhone SE。5万円程度と端末割引なしでも手が届きやすい価格だ。もちろん4G対応なので、iPhone SEが売れれば売れるほど、5Gの普及は数年、遅れることになる。
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