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Sunday, December 6, 2020

ESAの宇宙ゴミを取り除くミッションは1億300万ドルの契約 - ギズモード・ジャパン

年々増え続ける宇宙ゴミ(スペースデブリ)の回収に向けて、欧州宇宙機関(ESA)はスイスのスタートアップClearSpaceと1億300万ドル(約108億円)の契約を結びました。2025年に単体のゴミを取り除くミッションを予定していますが、このミッションが宇宙産業の新たなビジネスチャンスとなるかもしれません。

今回の契約締結は先週発表され、ESAによれば「世界初となる軌道から宇宙ゴミを取り除く」ミッションになるとのこと。同ミッションを担当するのはスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究者らが設立したClearSpace社をはじめ、ドイツ、チェコ共和国、スウェーデン、ポーランドなど欧州各国からのパートナーたちです。

上記ミッションで回収されるターゲットは、2013年から地球低軌道(LEO)を周回しているVespa(打ち上げロケットVegaの二次ペイロードアダプター)になります。質量112キロのペイロードアダプターはPROBA-V衛星を宇宙に送り出してからは低軌道上に存在する数多くの宇宙ゴミと同様、現在は目的もなく漂っているだけ。しかし、稼働中の衛星や国際宇宙ステーションに危険をもたらす可能性があります。

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2013年からのアーカイブ画像。手前がPROBA-V衛星、奥にVespa(Vegaの二次ペイロードアダプター)
Image: ESA - Karim Mellab

8600万ユーロというと宇宙ゴミ1つの撤去に費やすには巨額に思えますが、ESAは重要な投資を行っているのです。ClearSpace-1ミッションに使用される宇宙機がVespaに「ランデブーして、確保して、落下する」というテクノロジーは、(この戦略がうまくいくと想定して)今後の似たようなミッションで活用されるでしょう。ESAは「宇宙における新たな商業部門」の立ち上げを狙っています。

宇宙機のアームがVespaを捕らえるというClearSpaceの解決策は、想像もできないほどの正確性が求められます。宇宙ゴミは時速2万8000キロで移動しているため、ほんのわずかな計算ミスでアームが回収対象をはじいてしまったり、衝突したりする可能性もあります。宇宙ゴミを確保できたら、ClearSpaceの宇宙機は大気圏に突入し燃えて消滅します。

ESAによれば、現在追跡されている宇宙ゴミのは2万2300個にもなるとか。数が増えるごとに衝突の可能性は増え、低軌道は衛星や宇宙飛行士にとって危険な場所になります。ClearSpaceはこういったデブリを取り除くことに関して「未来の世代が宇宙のインフラと探査から利益を得られ続けられるようにするために必然であり、私たちが責任を持って行なうべき仕事です」と語っており、ClearSpace-1は「宇宙飛行の長期的な持続可能性を著しく高める技能と商業的な可能性がある」と付け加えています。

ClearSpaceには4本のアームがありますが、いくつかの企業もそれぞれ独自のコンセプトを開発しています。例えばRemoveDEBRISは軌道上のゴミを銛(もり)で捉えます。どんな手法がベストなのかはその時にならないとわかりませんが、解決策が出揃ってきました。宇宙でも、私たち人類が残してしまったゴミを片付ける時が来たようです。

Source: ESA(1, 2, 3), ClearSpace,

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