新型コロナウイルスの感染が拡大する中、外食チェーン大手による店舗閉鎖の動きに歯止めがかからない状況だ。新型コロナ対策で、政府が今月中旬まで「勝負の3週間」と位置づけ、各自治体による再度の営業時間短縮要請などが追い打ちをかける。稼ぎ時の忘年会シーズンを生かすことができない外食各社は、未着手だった低収益店の整理に加え、中期的な構造改革の一環として閉店を継続するなど試練が続く。
緊急事態宣言を機に苦境に立つ居酒屋業界では、ワタミが11月、令和3年3月末までに居酒屋を中心に全店の約2割に当たる114店を閉店すると発表した。渡辺美樹会長は10月、コロナ禍による行動変容で収束後の居酒屋需要は「以前の7割程度」と予想。居酒屋では新規出店せず、和民ブランドは焼き肉へ転換する基幹業態変更を宣言した。
外食大手のコロワイドも4~9月に直営居酒屋125店、直営レストラン70店を閉店。3年3月末までに3店を追加閉店する計画だ。野尻公平社長は「市場は縮小するが、店舗数減少で1店舗当たりの売り上げは令和4年に戻るのでは」とし、少人数へのメニュー対応などを打ち出す。
ファミリーレストランも回復が遅い。在宅勤務浸透でランチ需要や、複数人で会話を楽しむ昼間の喫茶利用が減った。すかいらーくホールディングスは首都圏を中心に約200店を3年12月末までに閉店、一部を業態転換する。ファミリーレストラン「ガスト」「ジョナサン」など85店が閉店済みで、11月の決算説明会で谷真会長兼社長は「アフターコロナで収益を上げるためには経験豊富な人材は極めて重要だ」と説明、グループ内での配置転換で雇用を維持する。
ロイヤルホールディングスは今年11月、不採算店約20店を追加閉店すると発表。5月に発表した約70店から拡大した格好。うどん店などを展開するグルメ杵屋も80店舗程度を閉店する方針だ。
「投資回収の観点から将来を期待し低収益店を維持してきたが、見直しが進んだ。この機に環境に対応し筋肉質な体質へと改善できなければコロナ後もない」(外食チェーン関係者)。
各社は、閉店を継続する一方、コロナ禍後の消費者心理を推察しながら、業態転換や宅配などの対応強化を急ぐ。生き残りをかけた戦略変更への模索が続きそうだ。
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