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Thursday, September 24, 2020

クラウド3巨人、ゲームにそろい踏み アマゾンも参入 - 日本経済新聞

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アマゾンは米国で月額5.99ドルのクラウドゲーム「ルナ」を始める

アマゾンは米国で月額5.99ドルのクラウドゲーム「ルナ」を始める

【シリコンバレー=佐藤浩実】クラウドの波がゲーム業界に押し寄せている。米アマゾン・ドット・コムは24日、専用の端末がなくてもインターネット経由で遊べるクラウドゲームのサービスを始めると発表した。米マイクロソフトや米グーグルに続き、クラウドを手がける3強がゲームにそろい踏みする。利用者を増やすには魅力的なソフトが重要で、買収や提携が活発になっている。

アマゾンは同日、米国でクラウドゲーム「Luna(ルナ)」の申し込みを受け始めた。50種類以上のゲームを月額5.99ドル(約630円)で遊べるようにする。当面は招待制にして人数を絞り、2021年前半を予定する一般公開までにサービスの品質を高める考え。日本での展開計画は明らかにしなかった。

「AWS」を運用するアマゾンは世界のクラウド基盤で3割のシェアを握る最大手だ。マーク・ウィッテン副社長は「AWSの知見を活用することで、通信の遅延が少ない高品質のゲームを配信できる」と話す。米IT(情報技術)大手によるゲーム事業への参入としては最後発となるが、クラウド基盤の強さを競争力につなげる戦略を描く。

クラウドゲームはかねて「ゲームの将来像」として語られてきた。複雑な画像処理などを手元の専用機ではなくサーバー側でこなすことで、高価な端末がなくても高精細なゲームを遊べるようになるからだ。オランダの調査会社ニューズーによると、20年のクラウドゲームの市場規模は約5億8千万ドルとなり、23年に48億ドルまで拡大する。

通信規格「4G」の広がりとともに動画配信サービスが飛躍したように「5G」の普及でクラウドゲームの利用に弾みがつくとの期待もある。

ただ、クラウドゲームで先行する企業をみると課題も浮き彫りになる。例えば19年に「Stadia(スタディア)」の名称でサービスを始めたグーグル。世界のゲーム開発者が集まるイベントで参入をぶち上げたが、利用者数は伸び悩んでいる。通信遅延の問題に加え、新しい作品の乏しさが指摘されている。

マイクロソフトでゲーム機「Xbox」の事業を率いるフィル・スペンサー上級副社長は「クラウド技術は大切だが、ゲームをする人はデータセンターでサービスを選ぶわけではない」と言い切る。遊びたいソフトがあれば、クラウドや専用機といった手段は別にして、それを遊べる機器やサービスに消費者は集まるとの趣旨だ。

実際、新型コロナウイルス下では大ヒットしたソフト「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」を遊ぶため、任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」を購入する人が相次いだ。

マイクロソフトは9月に米国や韓国などでクラウドゲームの本格サービスを始め、21年前半からは日本でも展開する。21日には「フォールアウト」や「スカイリム」で知られる米ゲームソフト大手、ベセスダ・ソフトワークスの親会社を買収すると発表。75億ドル(約7800億円)もの巨費を投じるのは「優れたコンテンツがプレーヤーを引きつける」(スペンサー氏)からだ。

ゲームよりも一足早くストリーミングの波が訪れた動画配信では、独自コンテンツへの投資を重ねた米ネットフリックスが先頭を走る。ゲーム業界では「マイクロソフトのベセスダ買収はコンテンツ獲得をめぐる再編の始まり」との声も上がる。

クラウドの巨人3強がそろってゲーム事業を強化するのは、ゲームの世界そのものがプラットフォームになりつつあるためだ。ソニーも出資する米エピックゲームズの人気ゲーム「フォートナイト」では、米津玄師さんら著名アーティストがゲームの世界でライブを開催。米大統領選の民主党候補、ジョー・バイデン前副大統領の陣営は任天堂の「あつ森」を選挙活動に活用する。

新型コロナ下の巣ごもり需要で存在感を高めるゲーム。年末商戦ではソニーとマイクロソフトも新型の専用機を発売する。モバイルやクラウドなど、旧来のテレビゲームの枠にとどまらない分野が伸びるなか、ソフト業界を巻き込んだ陣取り合戦はいっそう熱をおびそうだ。

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