今、多くの人が、日々、報告される日本国内での新規感染者の数や、累積感染者数を気にしていると思う(中には気にするのに疲れて、見るのをやめたという人もいて、それもまた識見というものだ)。一方で、日本でのPCR検査の少なさを問題視して、実際にはもっと多くの感染者が出ているに違いなく、今の欧州やアメリカに準ずるくらいのことが起きているのではないかと心配する人も最近までは多かったようだ。
では、実際のところ、日本の現況はどのように把握できるだろうか。中澤さんが作ったスライドには、「日本で検査数が欧米より少ないのは感染者が少なかったから」という刺激的なタイトルがついており、その真意についても含めて、順を追って聞いていこう。
まず、検査についての一般論から。
「検査が万能ではないことは、強調しておくべきだと思います。PCR検査は、スワブ(鼻や喉をぬぐう綿棒のようなもの)にうまくつかないと、感染している人でも陰性になります。そもそも、早期発見しても重症化や死亡を防ぐための早期治療がないわけですから、まだ症状がない感染者を見つけるのは本人の治療上は今のところ意味がないです。症状が出る前から人を感染させることがはっきりしてきたわけだから、それならば、早く見つけて検疫するという考えも出てきますが、それを徹底できた国はごくごく少数です」
もちろん、医師が必要と考えるような症状がある人が検査を受けられないのはおかしい。一時、そのような話があちこちで聞かれたし、受診の遅れが死亡につながったとされるケースも報告されるようになった。これらは有症状なのに検査、診断がなかなか受けられなかった事例で、本当に嘆かわしい。その後、東京都医師会が独自にPCR検査センターを設けるなど対策が始まったので、改善されることを願っている。中澤さんもそれと同意見だ。
もう少し、PCRについて見ておく。
「PCRって、遺伝子を高速で増幅する装置のことです。遺伝子を増殖させる酵素を使って、微量の遺伝子でも増幅して確認できます。COVID-19の場合は、原因ウイルスであるSARS-CoV-2に特有の遺伝子配列を2箇所選んでプローブとして使って、その両方が見つかったら陽性と判定しています。コロナウイルスはRNAウイルスなので、RNAから逆転写酵素(Reverse Transcriptase)を使ってまずDNAにうつしてから、増幅するという手順が必要なので、RT-PCRとも書かれます」
PCRは、ウイルス検出装置というよりも、広く生物学・医学分野で使われる遺伝子増幅装置だ。だから、分子生物学系の大学研究室でも様々な研究のために使われている。
感染症の検査では、なんらかの予備的なスクリーニングテスト(ふるい分けテスト)を行った後での確定診断として使われることが多い。しかし、今回のCOVID-19では、まだ確立したスクリーニングテストがないため、いきなり、確定診断であるPCR検査を行っているのが実情だ。
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