レノボ・ジャパンは4月18日、CPUに第13世代CoreもしくはRyzen 7000シリーズを搭載した新型ThinkPadを一斉に発表。順次販売を開始した。今回はその中から「ThinkPad X1 Carbon Gen 11」が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
第13世代Coreを搭載となったThinkPad X1 Carbon
同日、レノボ・ジャパンからかなりの数の新型ThinkPadが発表された。ThinkPad X1 Carbon Gen 11、ThinkPad X1 Yoga Gen 8、ThinkPad X1 Nano Gen 3のほか、ThinkPad X13 Gen 4、X13 Yoga Gen 4、さらにT14s/T14、L13/L13 Yoga、L14、L15が展開されている。プロセッサはほとんどがIntelだが、L13/L14/L15に関してはAMDモデルも含まれている。
この内、X1を冠するのはCarbon、Yoga、Nanoの3モデル。特徴は順にスタンダード、2in1、小型軽量となるだろう。今回見ていくのはX1 Carbonで、「ザ・14型」と言えるモデルとなる。仕様は以下の通り。
【表1】「ThinkPad X1 Carbon Gen 11」(21HM0035JP)の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-1335U (Pコア×2+Eコア×8/12スレッド、クロック最大4.6GHz、キャッシュ12MB、TDP 15W/最大55W) |
メモリ | 16GB LPDDR5 |
ストレージ | 256GB SSD(PCIe NVMe OPAL 2.0) |
OS | Windows 11 Pro |
ディスプレイ | 14型非光沢IPS 1,920×1,200ドット(16:10)液晶、10点マルチタッチ対応 |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(80 EU) |
ネットワーク | Wi-Fi 6E対応、Bluetooth 5.2、LTE-Advanced(Nano SIMカード) |
インターフェイス | Thunderbolt 4×2、USB 3.0×2、フルHD Webカメラ(顔認証対応、プライバシーシャッターあり)、音声入出力、キーボードバックライト |
サイズ/重量 | 約315.6×222.5×15.36mm/約1.27kg |
バッテリ/駆動時間 | 4セル(57Wh)/約19.5時間 |
価格 | 40万4,140円 |
プロセッサは第13世代(Raptor Lake)のCore i5-1335Uで、Pコア×2+Eコア×8の12スレッド。クロックは最大4.6GHzで、キャッシュ12MB、TDP 15W(最大55W)。Core i5なのでミドルクラスのSKUとなる。
メモリはLPDDR5で16GB、ストレージはPCIe NVMe OPAL 2.0の256GB SSD。最近のノートPCとしては容量が少なめだ。OSはWindows 11 Pro。バージョン22H2だったのでこの範囲でWindows Updateを適応し評価している。
グラフィックスはIris Xe Graphics。外部出力はHDMIとThunderbolt 4が利用でき、最大でそれぞれ3,840×2,160ドット/60Hz、5,120×3,200ドット/60Hzが出力できる。ディスプレイは14型非光沢IPS 1,920×1,200ドット(16:10)液晶で、10点マルチタッチにも対応する。
ネットワークはWi-Fi 6E、Bluetooth 5.2に加え、LTE-Advancedに対応(Nano SIMカード)。そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 4×2、USB 3.2×2、フルHD Webカメラ(シャッターあり)、音声入出力、キーボードバックライト。WANが5G未対応なのがやや残念だ。
最大19.5時間駆動の4セル(57Wh)のバッテリを内蔵し、サイズは約315.6×222.5×15.36mm、重量は約1.27kg。そして今回の構成で直販は40万4,140円。今年に入って円安の影響か大手ノートPCの価格が少しずつ手が出にくいレンジに入りつつある。
筐体はマットブラックなThinkPadそのものだが、天板はカーボン柄となっている。重量は実測1,261gで、14型の見た目とのギャップもあって、持つとかなり軽く感じると同時に、MIL-STD-810Hに準拠した堅牢性を備える。
前面はパネル中央上にプライバシーシャッター付きのWebカメラを装備。フチはそれなりに狭い。左側面にThunderbolt 4×2、USB 3.0、HDMI。右側面にロックポート、USB 3.0、Nano SIMカードスロット、3.5mmジャックを配置。ディスプレイは180度開くことができる。
裏面は、手前に2つ、後方に1本のバー形状のゴム足を装備。手前左右にスピーカーを内蔵し、後部のスリットからファンが見える。付属のACアダプタはサイズ約9×5×2cm、重量197g、出力65W。汎用のUSB PD対応充電器も利用できる。
14型のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色ともに十分で、タッチの反応もよい。ただし視野角に関しては、覗き見防止のPrivacy Guardの関係で狭い。基本的にビジネスノートなので問題ないと思うが、見にくい場面もあるかもしれない。
i1 Display Proを使い特性を測ったところ、最大輝度490cd/m2とかなり明るい。最大から-4が140cd/m2、-5が106cd/m2。従って前者で計測した。黒色輝度はOLEDではないのに0.000cd/m2と優秀。リニアリティは結構いいのだが、青だけがほかからズレているのが分かる。
キーボードは6列/89キーのJIS配列。もちろんTrackPointとThinkPadクリックパッドを備える。打鍵感はさすがThinkPadといったところで、とてもよい。本連載ではいろいろなノートPCを触っているが、ThinkPadに関しては独特の打ちやすさがある。バックライトはオフおよび2段階の明るさ調整が可能。なお、電源ボタンは指紋認証センサーを兼ねている。
キーピッチは主要キーが約19mm。ただしEnterキー周辺が若干狭い。加えて「Home」、「End」が上列にあるのは好みが分かれる部分かもしれない。パームレストおよびThinkPadクリックパッドは十分広く、TrackPointとボタンによる昔ながらの操作も可能だ。
Webカメラは最大1080p/30fps。写りは自然でよく、Web会議用途なら十分な画質と言える。デジタルズーム、ホワイトバランスや露出補正にも対応しており、IRカメラ/人感検知機能も備えている。なお、マイクのノイズキャンセリングなどは後述する「Lenovo Commercial Vantage」に統合されている。
騒音は試用した範囲では特に気にならなかった。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボード上のスペースおよび裏面奥側約3分の1(スリット周辺)が熱くなる。
サウンドは裏面手前にスピーカーがあり、間接音として耳に届く。ThinkPadなのであまり期待していなかったが、パワーがあり、質感も結構よく、少し驚いてしまった。
バッテリは実働10時間。LTE対応でどこでもネット接続
初期設定では、壁紙がいつものThinkPadっぽいものに変わっている。これだけでもThinkPadを触っている気になるから不思議なものだ。Core i5、16GBメモリ、256GB SSDと言う構成なのでストレスなく快適に操作できる。
SSDは容量256GBの「UMIS RPETJ256MKP1MQD」。検索しても型番と一致するものが見つからなかったが、CrystalDiskMarkの結果はシーケンシャルリード3,757.740 MB/s、シーケンシャルライト2,269.293MB/sとそれなりに出ている。Cドライブのみの1パーティションで約236GBが割り当てられており、空き容量は191GBと、少し心許ない。BitLockerで暗号化が施されている。
Wi-FiはIntel Wi-Fi 6E AX211で、BluetoothもIntel製。WANはFibocom L860-GLを内蔵するが、5G未対応なのが残念だ。Nano SIMカードに関しては、「ネットワークとインターネット」→「携帯電話」→「オペレーター設定」から設定できる。標準ではmopera U系しか無いので、それ以外の場合はAPNを設定する必要があるものの、一度つながってしまうと、電波さえあればいつでもどこでもインターネットが使えるというのはやはり便利だ。
プリインストールのアプリケーションは、「Lenovo Commercial Vantage」、「Lenovo View」と言ったレノボ製のツールと、「Dolby Access」、「Realtek Audio Console」、「Synaptics Fingerprint Reader Preboot Manager」などとなる。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。
パフォーマンスに関しては、ここのところ第13世代Core搭載のノートPCをいくつか試用しているが、Core i5かCore i7かが違う程度でほぼ想定内のスコアとなっている。
PCMark 10/BATTERY/Modern Officeの結果は10時間11分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。仕様では最大19.5時間だが、テスト内容を考慮すると妥当なところだろう。いずれにしてもこの構成で10時間以上なので十分と言える。
【表2】PCMark 10 v2.1.2600のベンチマーク結果 | |
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PCMark 10 Score | 4,899 |
Essentials | 9,488 |
App Start-up Score | 14,220 |
Video Conferencing Score | 6,765 |
Web Browsing Score | 8,879 |
Productivity | 6,560 |
Spreadsheets Score | 6,948 |
Writing Score | 6,194 |
Digital Content Creation | 5,127 |
Photo Editing Score | 8,002 |
Rendering and Visualization Score | 2,886 |
Video Editing Score | 5,839 |
【表3】PCMark 8 v2.8.704のベンチマーク結果 | |
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Home Accelerated 3.0 | 4,260 |
Creative Accelerated 3.0 | N/A |
Work Accelarated 2.0 | 3,200 |
Storage | 5,068 |
【表4】3DMark v2.26.8125のベンチマーク結果 | |
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Time Spy | 1,256 |
Fire Strike Ultra | 964 |
Fire Strike Extreme | 1,824 |
Fire Strike | 3,538 |
Sky Diver | 11,662 |
Cloud Gate | 16,260 |
Ice Storm Extreme | 74,816 |
Ice Storm | 97,747 |
【表5】Cinebench R23のベンチマーク結果 | |
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CPU | 5,284 pts |
CPU(Single Core) | 1,573 pts |
【表6】CrystalDiskMark 6.0.0のベンチマーク結果 | |
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Q32T1 シーケンシャルリード | 3,757.740MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 2,269.293MB/s |
4K Q8T8 ランダムリード | 443.494MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 297.604MB/s |
4K Q32T1 ランダムリード | 405.575MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 367.971MB/s |
4K Q1T1 ランダムリード | 47.705MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 132.419MB/s |
以上のように「ThinkPad X1 Carbon Gen 11」は、第13世代Core i5-1335U、メモリ16GB、ストレージ256GB SSD、そしてパネルに14型非光沢IPSタッチ対応液晶を搭載。加えてまさしくThinkPadといった打鍵感のよいキーボードを装備し、重量1.27kgで約10時間のバッテリ駆動とモバイルノートPCとしては十分な性能を備えている。
試用機の構成ではストレージの少なさや価格面が気になるが、使い心地や高い耐久性など「ザ・ThinkPad」なノートPCを使いたいユーザーにはおすすめしたい製品だ。
からの記事と詳細 ( 【西川和久の不定期コラム】 第13世代Core搭載で正統進化の14型ノート「ThinkPad X1 Carbon Gen 11」 - PC Watch )
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