DX支援サービスは、IBM i上のシステム資産の状況を多様な切り口で分析するためのクラウドサービスである。一般的なIBM i上の資産分析というと、可視化・分析ツールを連想するかもしれない。
しかし、一般的な可視化・分析ツールがプログラムの構造を分析して仕様書や設計書などを描出するのに対して、DX支援サービスは同様の分析をベースとしつつも仕様書などの個々の結果の描出は行わず、システム資産の概要の把握を支援するサービスである。
IBM iユーザーの間では、ブラックボックス化したシステム資産の可視化へのニーズが高まっている。そして可視化・分析ツールにより、システム資産の多様な描出が可能である。しかし、そうした多様な描出からその後のシステム改革の指標を導き出したり、DX推進の優先順位を見極めるといったことは容易ではない。
DX支援サービスは、システム改革のための具体的な方向性を把握するのに向くサービスである。しかも「3つのステップ(下記)でシステム資産の把握からDXへの準備が可能」(NCS&A)という明快さが特徴である。
具体的な利用の流れは、以下のとおりである(図表1)。
❶ IBM i上のシステム資産をDX支援サービスのサイトへアップロード
❷ DX分析サービスが自動で分析を開始
❸ 5種類の分析結果を描出(棚卸分析=ステップ1)
❹ RPGプログラムに関しては、Javaへマイグレーションする場合の適用率を算出(移行性分析=ステップ2)
❺ ❸と❹の結果をユーザーがWebブラウザで参照
❷の分析対象となるプログラムは、RPG、ILE RPG、COBOL、ILE COBOL、CL、DDSなど、❸の分析結果として描出されるのは、次の5つの指標である。
・資産規模分析
システムを構成する各資産の規模や使用率、実ライン数を算出(図表2)
・重複資産分析
異なるライブラリーにおける同名メンバーの重複を把握
・不足資産分析
ソースコードが存在しない資産の把握
・静的資産棚卸分析
ソースコード上の「共通」要素などサブシステム単位の「使用」「未使用」傾向の把握
・動的資産棚卸分析
最終稼働日やライン数などメンバー単位の詳細情報の把握
上記の棚卸分析から資産の種類・本数や使用率・稼働率などが把握でき、「システム改革やDXの対象となるプログラムを優先順位をつけて絞り込むことができる」(NCS&A)
そしてDX支援サービスではさらに、棚卸分析から一歩進んでJavaへマイグレーションする場合の「移行性分析」も提供している。これはRPGプログラムの構文パターンを分析し、C仕様書の演算命令やメンバーのJavaへの機械変換率を算出するもの。グラフやパイチャートなどでビジュアルに分析結果を表示するのが特徴である。「機械変換が可能か作り替えが必要かを自動判別するので、概算費用の算出が容易」(NCS&A)という。
DX分析サービスではこのほか、❶および❷❸の結果を踏まえた「DX実現の方式検討」と呼ぶフェーズをオプションで用意している(ステップ3)。
NCS&Aによると、検討するのは、
・再構築
・再構築&マイグレーション(ハイブリッド)
・マイグレーション
・IBM iの継続利用
の4つの方式に絞られ、ユーザーの環境や状況にあわせて具体的に方式や実行プランを検討していくという。
NCS&AではDX支援サービスの特徴として、次の4点を挙げる。
・実績のある高精度な分析エンジンによる分析
・システム資産をアップロードし閲覧するだけの手軽さ
・Webブラウザで利用可能
・初期費用なし、月額19万8000円という低料金
NCS&Aによると、DX分析サービスは同社の「社内スタートアップ制度」から生まれたユーザー視点のサービスという。システムの現状がわからない、DXを推進したいが何から手をつけてよいかわからないといった課題を抱えるユーザーに向くサービスと言えそうである。
NCS&A株式会社 https://ncsa.jp/
[i Magazine 2023 Spring(2023年5月)掲載]
からの記事と詳細 ( IBM i資産の全体・傾向把握を5種類の指標により支援、ユーザーのDX ... - IBM )
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