インディーゲームデベロッパーのRunning With Scissorsが「海賊版ゲームで遊ぶことに反対はしないが、できれば買ってほしい」というツイートをして多くの反響が寄せられている。ゲーム業界の悩みの種である海賊版ゲームだが、それに反対しないとはどういうことなのだろうか。
Running With Scissors(以下、RWS)は本拠地をアメリカに置くインディーゲーム会社。下品さと過激な暴力で知られる『Postal』シリーズを開発している。なかでも2003年発売の『Postal 2』は下劣で暴力的な描写が物議を醸し、一部の国で発売禁止にされるなどの社会問題に発展したことで有名だ。一方で、過激な内容は一部ファンの心も掴み、カルト的な根強い人気をもつシリーズでもある。なおRWSは悪名高き『Postal 3』の開発について深くは関わっていない。そんなRWSがツイートした海賊版ゲームについての呼びかけが話題になっている。
RWSは「海賊版で遊ぶ行為に反対ではない」としており、自分たちを現在支えてくれている人たちの多くは、正規の手段で購入する前に海賊版でプレイした人だからだと説明している。一方で同スタジオは自分たちのようなインディーデベロッパーは、経済的支援がなければ新しくてクールなものを作ることができない点を気に留めておいてほしいともコメント。海賊版で遊んでもいいが、支える(購入する)ことも検討してほしいと伝えている。くわえて、続くツイートではゲームを試してみたかったら海賊版で遊んでもいいが、気に入ったら非公式なゲームキー販売サイトではなく正規の場所で買ってほしいとも呼びかけた。
ゲーム会社が海賊版ゲームを遊ぶことに反対ではないと言い切るのは興味深いことだ。特にPCゲームにおいては、海賊版ゲームの蔓延は深刻な問題といえる。海外メディアPC Gamerが2016年におこなったPCゲーマー約5万人を対象としたアンケート調査では、35%が海賊版ゲームで遊んでいるとの回答が得られたという。小規模かつやや古いデータであり、また匿名で複数回答ができる状態での実施であったという点には留意したいが、PCゲームで海賊版を遊ぶ者の多さを示す一定の目安にはなるだろう。またコンソール向けゲームにおいても、2010年には『ポケットモンスター プラチナ』が海賊版で約94億円の損失を出したという報道などがある。そうした状況を受けてこれまで各ゲームメーカーでは、海賊版対策技術の採用や法的措置など、海賊版に対する厳然たる対応がなされてきた。
そうしたなかでRWSは、海賊版で遊ぶ行為に反対ではないとの態度を示しているわけだ。あるユーザーはリプライにて「海賊版を遊ぶような奴らにゲームにお金を出すよう呼びかけても無駄ではないか」との疑問をぶつけている。これに対しRWSは、海賊版を遊んだユーザーでも一部はいずれゲームを買ってくれる傾向があるとの見解を説明。海賊版を遊んだ者が、いずれ既存の作品や続編を遊ぶファンになってくれるかもしれないということだろう。あわせてRWSは、インディーデベロッパーは経営のための資金調達が死活問題であると伝えており、知名度が低い段階でゲームを遊んでもらう難しさを踏まえての呼びかけなのかもしれない。
とはいえ、海賊版のダウンロードは言うまでもなく違法であり、業界に重大な打撃を与えていることには変わりない。RWSの主張はあくまで海賊版に対しての一インディーデベロッパーとしての見解にすぎない、という点は留意したい。
なお『Postal』シリーズの第一作目である『Postal』は現在PC(Steam/GOG.com)にて無料配信中。シリーズ後継作を遊んでもらうために、前作を少しでも多くの人に遊んでもらいたいというRWSの方針が現れているのだろう。
からの記事と詳細 ( お下品FPS『Postal』開発元、“海賊版で遊ぶ行為に反対ではない”と言い切る。遊ばれないと売れないジレンマ - AUTOMATON )
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