【ニューヨーク=白岩ひおな】米国の個人消費の動向を占う25日の一斉セール「ブラックフライデー」の結果が26日、まとまった。米アドビによると、インターネット通販の消費額は前年比2.3%増の91億2000万ドル(約1兆2700億円)で、伸び率は事前予想の1%を上回った。在庫増による値引き拡大が、物価高を警戒していた消費者の消費意欲を刺激した。
ブラックフライデーのオンライン消費額は新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年まで6年連続で前年をおおむね2割上回ったが、21年は1%減に落ち込んでいた。実額はデータのある14年以降で最高となった。
アドビの公表データは物価変動を考慮しない名目値で、物価上昇により上振れしている可能性もある。米国の消費者物価指数(CPI)の上昇率は10月、前年同月比7.7%の高水準だった。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスは12月までの年末商戦全体について、売り上げが前年より4.5%増える一方、インフレ分を調整した実質ベースでは1.2%減に落ち込むと推測する。
小売り各社が衣料品などの在庫過剰を抱え、年末商戦の値引き率の大きさは過去最高水準だといわれている。
「思ったより安くなっていて、つい買いすぎた」。25日、スポーツ用品ナイキのニューヨーク市の店舗。ブルックリン在住のリッツさんは最大で6割引きのスニーカーを兄弟2人分と合わせて11足まとめ買いした。
アドビによると、25日に平均割引率が32%だったおもちゃは10月の平均的な1日の売り上げの3.9倍と大きく伸びた。23%引きの電子機器の販売額も3.2倍だった。
クリスマスプレゼントを早めに購入する消費者も目立った。「プレゼントも冬服も、一番安くなるブラックフライデーに全部そろえる」。ニューヨーク市に住むコーディさんは早朝から家電量販店や百貨店を相次ぎたずね、ワイヤレスイヤホン、冬用コート、おもちゃを手に入れた。
ブラックフライデーの消費意欲が例年より大きくなり、これから年末にかけて減速感が強まる可能性もある。ディスカウントストア大手ターゲットのブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は「消費者は価格への感度を高めている」と話す。
小売大手ウォルマートのダグ・マクミロンCEOも「クリスマスイブまで販売動向を注視する必要がある」と警戒する。
アドビによると、オンライン消費の48%はスマートフォン経由の注文が占めた。ネットで注文した消費者が商品を店頭で受け取るサービスを提供する「カーブサイド・ピックアップ」の売り上げは11月19~25日に54%増で、注文数も35%増えた。
センサーマティック・ソリューションズによると、25日の実店舗の客足は2.9%増えた。20~21年と比べて人出が「著しく大きかった」(メーシーズのジェフ・ジェネットCEO)店舗もある一方「オンライン利用が増え、店頭での買い物は前年より減った」(ニュージャージー州のターゲットの店員)ケースもあった。
予算が限られる消費者がより柔軟な支払い方法を使う傾向もみられた。後払い決済のBNPL(バイ・ナウ・ペイ・レーター)を利用した注文件数は19~25日に前週と比べて78%増、金額ベースでは81%増といずれも伸びた。
全米小売業協会(NRF)は、11~12月の年末商戦の売上高(自動車・ガソリン・外食除く)が9426億~9604億ドルになると予測する。21年実績から6~8%増えるが、伸び率は同年の前年比13.5%から縮小する。アドビも同期間のオンライン販売が2.5%増と、21年の8.6%増から減速するとみる。
28日には米国でネット通販企業が一斉にセールをする感謝祭翌週の月曜日「サイバーマンデー」を控える。家具や電子機器の割引が予定され、アドビは前年比5.1%増の112億ドルの売り上げを予想する。24日の感謝祭の祝日は3%増の52億9000万ドルだった。年末まで消費の伸びが持続するかが焦点となりそうだ。
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