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Monday, May 30, 2022

Illustrator代替アプリの筆頭!「Affinity Designer」を使おう - PC Watch

 デザインツールが欲しいけれど、ランニングコストが発生するプロ向けツールはハードルが高い……。そんな人に紹介したいのが「Affinity Designer」。Adobe Illustratorなどプロ向けのデザインツールに匹敵する機能を備え、さらに軽快で心地よく使える注目のデザインツールです。

Affinity Designerのユーザーインターフェイス。左側にツール、右側にパネル類という配置はオーソドックスでとっつきやすいと思います。各パネルはドラッグすれば自分の好きな場所に移動できます

買い切りプランでお財布にやさしい

 「Adobe Illustrator(以下、Illustrator)」は、長年にわたってデザインツールのデファクトスタンダードとして支持され続けています。しかし、Illustratorを使うには、現在はサブスクリプションサービスへの加入が必須となります。

 さまざまなAdobeアプリケーションが利用できる「Creative Cloudコンプリートプラン」は6,480円/月、Illustrator単体の契約でも2,728円/月が発生します(2022年5月現在の通常価格。ほか各種プランが存在)。企業やプロクリエイターであればいいですが、個人の場合、そこまでのランニングコストをかけられないこともあるでしょう。

 そんなみなさんにぜひ紹介したいのが、「Affinity Designer」です。Affinity Designerは、価格7,000円という買い切りタイプのデザインツールで、一度購入すればランニングコストのことを気にする必要がありません。

 配信動画のタイトルやロゴを描きたい、Webバナーを制作したい、サークルのチラシを作りたい……。プロのクリエイターでなくても、日常生活の中でデザインをしたい場面はたくさんあるはずです。

 また、ビジネスでも、たとえばプロのデザイナーに何か制作物を依頼する前のイメージラフを作らなければならないこともあるでしょう。

 Affinity Designerなら、Webから印刷物までさまざまな用途に向けたデザインが可能です。手頃な金額でありながら機能は驚くほど充実しており、ソフトを使いこなしていけば、プロ顔負けのデザインも実現できます。

Affinity DesignerはApp Storeまたは公式サイトから購入が可能です。App Storeでの通常価格は7,000円ですが、本記事執筆時点、スプリングセールとして50%OFFの3,300円販売されています。公式サイトでも同様に50%OFFが実施されており、通常価格54ドル99セントのところ、26ドル99セントで販売されています

Affinity Designerの長所と短所

 では、Affinity Designerの良いところと悪いところを具体的に説明していきましょう。最初に箇条書きすると、それぞれ次のような項目が挙げられます。


    【良いところ】
  • Illustratorに匹敵する機能
  • 独自の魅力的な機能も数多く搭載
  • 俊敏・軽快・滑らかな動作
  • ブラシ描画をデザインに融合

    【悪いところ】
  • Illustrator経験者は操作に戸惑うことがある
  • AI形式でのエクスポートができない
  • 多機能な分、理解に時間がかかる

Illustratorに匹敵する機能

 Affinity Designerの良いところの1つ目は、比較的手頃な価格にも関わらず、Illustratorに匹敵するほどの機能を備えているという点です。

 かつてIllustratorがパッケージ販売されていた頃は、8万円を超える金額でした。それを考えると、Affinity Designerの価格は非常に手頃だといえるでしょう。にもかかわらず、Affinity Designerは非常に多彩な機能を備えています。

 基本的な図形描画、パスの編集、オブジェクトの合成、整列など、デザイナーがIllustratorで日常的に行なっている操作のほとんどは、このソフトでもそのまま再現できるようになっています。

 現在、世の中には、Illustrator代替アプリと目されるようなツールがいくつか存在しています。筆者も何本か使ったことがありますが、Affinity Designerはその中でも極めて多機能なツールです。

 「Illustratorで使っていたあの機能、このソフトでは利用できないの?」というような悩みは、他のツールに比べると圧倒的に少ないといえるでしょう。

基本的な図形描画機能をはじめ、Illustratorの基本的な機能は一通り備わっています。レイアウトデザインからロゴなどのパーツの作り込みまで、さまざまな用途に活用できます

独自の魅力的な機能も数多く搭載

 Affinity Designerには、ユニークな機能がいくつも存在します。たとえば「透明度ツール」を使えば、オブジェクトの透明度を段階的に表現できます。液体やガラスのような透明感のある表現を簡単に行なうことが可能です。

 また、「調整レイヤー」も魅力的な機能の1つです。調整レイヤーを使えば、オブジェクトに対して露出や彩度などを変更できます。単一のオブジェクトだけでなくグループ化したオブジェクト全体に適用でき、しかもレイヤーパネルからいつでも表示/非表示を切り替えられます。

 ほかにも、操作履歴を一覧できる「履歴」パネル、Web用に画像を書き出すのに便利な「書き出しペルソナ」など、作業効率を高めるための機能も揃っています。

透明度ツールでは、透明度をグラデーションでコントロールできます。色のグラデーションとは切り離されているため、透明度と色の変化をそれぞれ自由に設定できます
調整レイヤーの例。鉛筆1本に対して調整レイヤーを適用し、彩度を下げました。調整レイヤーはいつでもオン/オフの切り替えや再調整が可能です
履歴パネルにはスライダがあり、操作の履歴を素早く遡ることができます。また、作業の途中行程を保存しておく「スナップショット」機能もあります。なお、このソフトではパネルのことを「スタジオ」と呼んでいますが、本記事ではパネルで統一します
「書き出しペルソナ」というモードに切り替えると、指定したオブジェクトごとに画像を書き出したり、指定したサイズで画像を切り出すことができます。とりわけ、Affinity DesignerでWebサイトのデザインを行なう場合に重宝します

俊敏・軽快・滑らかな動作

 パフォーマンスの高さもこのソフトの魅力の1つです。ソフトの起動も速く、キャンバスのスクロールやズーム操作も非常に滑らかで快適です。全般的な操作感の快適さは、むしろIllustrator以上だといえるでしょう。

 また、本ソフトでは「エフェクト」という機能を使ってオブジェクトの輪郭をぼかしたり、影をつけたりすることができますが、このエフェクトの動作も軽快です。「エフェクト」パネルでスライダを動かせば、即座に結果が反映されます。細かな調整を繰り返す手間を大いに削減してくれるというわけです。

「輪郭ツール」を使うと、選択したオブジェクトの輪郭を広げることができます。こうした操作でもドラッグに追随して滑らかに変化していくので非常に快適です

ブラシ描画をデザインに融合

 Affinity Designerには、ブラシツールを使ったピクセルベースの手書き表現が可能な「ピクセルペルソナ」というモードがあります。

 これは、いわゆるお絵かきソフトのような表現ができるツールが揃ったモードで、エッジのぼけたブラシを使って描いたり、一度書いた線を消しゴムで消したり、ブラシの不透明度を変えて重ね塗りをしたりすることができます。

 ベクターベースによるシャープな線と、自由度の高いピクセルベースのブラシ表現を簡単に混在させられるので、これまでにない新たなイラスト表現を実現できます。

「ピクセルペルソナ」の活用例。「3」の数字の中に手書きで星を散りばめてみました。手書き要素を加えることで、デザインの表現が広がります

Illustrator経験者は操作に戸惑うことがある

 こうした長所の一方で、Affinity Designerの1つ目のデメリットに挙げられるのは、Illustrator経験者にとっての操作性です。Illustratorとは異なる操作があるため、Illustratorに慣れている人ほど使い方に戸惑うでしょう。

 たとえば、Illustratorでは、キャンバスをドラッグして複数のオブジェクトをまとめて選択することがあります。Affinity Designerでも同様の操作ができますが、その挙動に少し違いがあります。

 Illustratorの場合は、ドラッグした範囲内にオブジェクトが少しでもかかっていれば選択されますが、Affinity Designerの場合は、選択したいオブジェクト全体を含めるようにドラッグしないと選択されません。

 もちろん、こうした違いは設計思想や個性によるものなので、それ自体が悪いということではありません。しかし、「Illustratorに変わるもの」を探しているIllustrator経験者が使うと、しばらくの間は流儀の違いに戸惑い、ヘルプツールやWebで解消方法を探し回ることになるでしょう。

Illustratorに馴れている人は、[Affinity Designer]メニュー→[環境設定]を開き、[ツール]項目の中にある[選択マーキーと交差するオブジェクトを選択する]にチェックを入れるといいでしょう。選択ツールがIllustratorに近い挙動になります

AI形式でのエクスポートができない

 Affinity Designerでは、Illustratorの標準保存形式であるAI形式でのエクスポートができないのも残念な点です。Affinity Designerで作ったものをIllustratorに読み込ませたい場合は、EPS形式かPDF形式、SVG形式でエクスポートすることになります。

 これらの形式で書き出した場合でも見た目は維持されますが、テキストボックスに入力したテキストがぶつ切りのテキストになったり、レイヤー構造が維持されなかったりなどの課題が残ります。

 とはいえ、IllustratorとAffinity Designerの両方を併用したい、あるいはIllustratorユーザーにデータを受け渡したいということでなければ、この点は特に問題になることはないでしょう。

Illustratorにデータを受け渡したいときはPDF、SVG、EPSなどを選ぶといいでしょう。ただしこの場合、レイヤー構造など削ぎ落とされる情報があります

多機能な分、理解に時間がかかる

 これはAffinity Designerに限った話ではありませんが、ツールが多機能であればあるほど習得に時間がかかります。特に、そもそもベクターベースのデザインツールに慣れてない人の場合は、理解にそれなりの時間がかかるでしょう。

 公式サイトにはさまざまなチュートリアルビデオが用意されています。これらはソフトの特徴を知るのには大いに役立ちますが、人によってはさらに基本的な部分から教えてくれる教材、たとえば一歩ずつ順番に学べるトレーニングビデオのようなものが必要になるかもしれません。

公式サイトには、現在74本のチュートリアルビデオが公開されています。これらビデオは、Affinity Designerの特徴を知る大きな手がかりになります

Affinity Designerは誰のためのツール?

 Affinity Designerは、Illustratorにもないようなユニークな機能を備えています。しかし、習得の手間と時間を考えると、Illustratorユーザーが併用するような使い方はあまりメリットがないように感じます。

 また、簡単にデザインができるツールを求めている人も、メリットを感じにくいでしょう。このソフトには、ユーザーの創造性を先回りして作品づくりをアシストしてくれる機能はあまり搭載されていません。手軽にパパッと見栄えのするものを作りたいという人は、別の選択肢を考えたほうがいいでしょう。

 一方、他のデザインソフトやワープロソフトを使って機能や表現力に満足できなかった人なら、このソフトを試す価値が十分にあると思います。使い込むほどに新たな発見があり、徐々にツールの虜になっていくでしょう。使い勝手も良く動作も軽快なので、操作に慣れればクリエイティブの強力な武器になってくれるはずです。

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