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Friday, April 8, 2022

4種類の「デトックスダイエット」、その効果を科学的に問う - Esquire(エスクァイア 日本版)

《目次》

◇医学博士による監修記事

そもそも、「毒素」なんて存在するのでしょうか?

「その答えは『イエス』です。私たちは感染症などの内部発生源であるウィルスのような微生物のほかにも、プラスチックに含まれるBPA(ビスフェノールA)のような合成物質に由来する数十万もの毒素に日々さらされています」と語るのは、スタンフォード大学統合医療の専門家であるスーザン・ペイロヴィ医学博士です。

そこで「クレンジング」や「断食」、「サプリメント」などによって身体を“デトックス”することは可能(あるいは必要)なのでしょうか?

しかし、その答えに関してはNOとも言えるのです。

多くの会社は、自社のデトックス商品を使えば体内の毒素を除去でき、エネルギーの増強から寿命を延ばすことまで「さまざまな健康効果が得られる」と語っています。ですが、そういった大胆な約束を裏づけできる証拠はほとんどないと言っていいでしょう。

ご存知の通り、あなたは有害な毒素を身体から取り除くに必要なものをすでに持っているのです。そう、それは肝臓です

「私たちは幸運な進化を遂げたのです。なぜなら、私たちの肝臓は身体から毒素を取り除くのに役立つ何百万という酵素とプロセスが擁しているのですから」と語るのは、コロラド大学医学部の中毒外来でメディカル・ディレクターを務めるクリストファー・ホイト医学博士です。「そして私たちの健康を保つために、(肝臓は)常に時間外労働をして働いてくれています」とも言います。

◇肝臓の役割とケアする重要性

あなたの肝臓はアルコールに加え、周囲の環境に潜む人体に害をもたらす可能性を有する化学物質や汚染物質に至るまで、数多くの異なった毒素を中和したり取り除いたりすることに努めていると言えるのです。

そして時間が経つにつれて肝臓は、それらの毒素の処理が以前ほど効果的に行えないようになることもあるのです。その一因には、老化による自然な成り行きもあります。ですが、アルコールの過剰摂取といったライフスタイルの乱れが影響する可能性も多々あるのです。

もし、「自分の肝臓を助けてあげたい」と思っているのであれば、いちばんいい方法――そして、研究結果に裏づけられた唯一の方法――はアルコールの量を減らすことを第一に考えるべきです。

日本人の1日のアルコール摂取量、適量は?


厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、「節度ある適度な飲酒量」は1日平均純アルコールで約20g程度とされています。

一般的に、成人女性は成人男性に比べてアルコール分解速度が遅く、「体重あたり同じ量だけ飲酒したとしても、女性は臓器障害を起こしやすい」とのこと。そのため、女性は男性の1/2~2/3程度が適量だと考えられています。

《純アルコール20gに相当する酒量の目安》

  • ビール:ロング缶1本(500ml)
  • 日本酒:1合(180ml)
  • ワイン:グラス2杯弱(200ml)
  • ウイスキー:ダブル1杯(60ml)
  • チューハイ:缶1本(350ml)
  • 焼酎:グラス1/2杯(100ml)

アメリカ連邦政府の食事に関するガイドライン「ダイエタリー・ガイドラインズ・フォー・アメリカンズ」が推奨しているのは、「アルコール消費量を成人男性で1日2杯以下、女性で1日1杯以下に制限すること」と言及。「いちばん健康(肝臓)にいいのは、全く飲まないことだ」とも指摘しています。

飲酒中とその後に肝臓を働かせ続けることに加えて、長年にわたる飲酒がアルコール性脂肪肝疾患アルコール性肝炎アルコール性肝硬変につながる恐れがあり、これらの病気はすべて肝臓の機能を著しく損なうことにもつながるのです。

◇デトックスダイエットは本当に効果があるのか?

しかし、デトックスダイエットやサプリメントの効果を裏づける証拠がないにもかかわらず、「それをぜひ試してみたい」という人は少なくありません。

国際食品情報評議会の2021年の食品健康調査によると、2021年には「消費者の約1%がクレンジングを行っている」という結果が報告されています。2020年の約2%に比べると、デトックス人気が下がっているのは(私としては)心強くもありますが、デトックスダイエットやクレンジングやサプリメントが依然として、健康志向の潮流の大きな要素を占めていることは否定できません。

デトックスダイエットを主として、口コミと(実際の研究によるものではない)事例証拠によって広まっているところから今回、「メンズヘルス」US版のスタッフがさまざまな製品やダイエット方法に約束されたような効果が多少なりともあるのかどうか? 実際にテストしてみました。そしてわかったことを、以下にご報告いたします。

◇「ジュースクレンズ」を実践、その効果は? 科学的に解説

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TIM MCDONAGH

  • 「ジュースクレンズ」とは何か?
    …1週間の大半を細かく砕いた野菜だけを食べて過ごすというもので、体内から毒素を取り除き、栄養を摂取し、気分をすっきりさせるのに役立つとされています。
  • 今回挑戦した人:「メンズヘルス」US版副アート・ディレクターのレイモンド・ホー

「頭痛がずっと続いて、集中力が落ちました。空腹は感じなかったものの、“たったいま起きたばかり”という感覚が消えることはありませんでした」と、ホーは振り返ます。

科学的に言えることとして…、『ニュートリション・リサーチ』に掲載された2015年の調査によると、400kcalのレモン水で複数日を過ごすデトックスをやった女性は体重が減りました。(そりゃそうですよね?)しかし、減るのは脂肪ばかりではありません。「ローカロリーダイエットをやった場合、例え食べるものにタンパク質が含まれていたとしても、減った体重の25~30%は筋肉なのです」と説明するのは、身体組成トレーニングのエキスパートで認定ストレングス・アンド・コンディショニング・スペシャリスト(C.S.C.S.)でもあるブラッド・シェーンフィールド医学博士です。

『サイエンティフィック・レポーツ』に掲載された2017年の似たような調査では、20人の健康な成人が3日間のジュースクレンズを行い、摂取したのは1日にジュース6本だけというテストを行いました。するとそこで、被験者の体重は平均して約1.7kg(3.75ポンド)減りはしましたが、そのうちの半数は2週間後に元に戻っていました。しかしながらその調査では、被験者を17日間しか追跡していなかったので長期的な効果について結論を下すことはできません。

また、『ジャーナル・オブ・ヒューマン・ニュートリション・アンド・ダイエテティクス』に掲載された2015年の別の報告では、「長期的な体重の減少、健康の促進、あるいは体内からの毒素の除去といった効果が、ジュースクレンズにあることを裏づける確固たる証拠は得られない」と結論づけています。

ジュースクレンズの副作用は?

ジュースクレンズは持続可能でないばかりか、危険でもあります」と、警鐘を鳴らすのは、ピッツバーグを拠点にして活動する管理栄養士で糖尿病療養指導士のジェシカ・デゴア氏です。

「ジュースクレンズの一般的な副作用としては、電解質の喪失、疲労、頭痛、吐き気などがあります」と言い、さらにジュースクレンズは「糖分が多く、食物繊維、タンパク質、脂肪が少ないため、消化の妨げとなることもある」と危険視もしています。「トイレで長く過ごす準備が必要です」ともデゴア氏は説明します。

結論として…果物や野菜は癌(がん)、心臓病といった病気との戦いに役立つ研究結果も報告されていますが、そのジュースを飲むことだけを唯一の食物摂取とした場合の健康効果については、よくわかっていないのが事実です。さまざまな研究でも報告されているように、食物繊維はカタチのある食物を調理することによって摂るべきではないでしょうか。

◇「デトックス・サプリメント」を実践、その効果は? 科学的に解説

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TIM MCDONAGH

  • 「デトックス・サプリメント」とは何か?
    …ハーブ入りのカプセルには大抵、大量の食物繊維が含まれています。これらの商品に共通する謳(うた)い文句は、「このハーブが解毒をサポートして、あなたの身体から毒素を除去してくれます」だと思います。そうです、排便によってです。
  • 今回挑戦した人: 「メンズヘルス」US版リサーチ・チーフのジェニファ・メシマー

「毎朝、『オエッ』という咽頭反射があった以外は、活力が増したという感じはしなかったし、“除去”についても特に変化があったようには思いませんでした」と、メシマーは振り返ます。

科学的に言えることとして…、デトックス系の一般的なサプリメントにオオアザミがあります。このハーブに含まれる化合物が抗酸化活性を高め、動物の肝臓内の炎症を軽減する効果が期待できると言われています(この種子に含まれるフラボノイド複合体である成分シリマリンには、「肝機能の改善」「解毒作用」「抗酸化作用」があることが報告されています。よって、肝臓を守るサプリメントとして近年、アルコールを多く摂取される人を中心に人気が高まっています。ですが、人によっては心毒素として作用し、不整脈の原因となる例もあります)。

とは言え、人間を対象にした研究ではその効果を確認することはできていません。オオアザミ自体は安全ですが、サプリメントに含まれているそのほかの物質があなたの服用している薬の妨げになる可能性もあるのです。

『ジャーナル・オブ・ダイエタリー・サプリメンツ』に掲載された2019年のある研究で、22人の健康な女性に市販されているデトックス・サプリメントか偽薬(プラセボ)を4週間毎日服用してもらう無作為実験が行われています。そしてそのサプリメントは、「身体組成、腹囲、血液マーカー(コレステロール値や血糖値など)、消化器症状のいずれにも効果がなかった」と結論づけています。つまり、サプリメントは何の効果も発揮していなかったと言っていいでしょう。

またある専門家たちは、「多くのデトックス・サプリメントやデトックス・ティーには下剤が含まれている」と警告を発しています。

「デトックス・ティーは卑劣とも言えます。実際にはデトックスをしていないのに、デトックスしているような気分を利用者に与えているのです」と語るのは、管理栄養士でカリフォルニアのロングビーチを拠点に活動する腸の健康の栄養士、アマンダ・ソウシーダ氏です。

「文字どおり、それらはあなたの排便を増やして、あたかもあなたの身体から毒素が除去されているように思わせているのです。ですが、それらのサプリメントはデトックスが実際に行われている肝臓をサポートするようなことをしているとは思えません」と、ソウシーダ氏は言います。

結論として…、あなたの肝臓をサポートするには、健康的でバランスの取れた食生活を維持すれば十分です。また、専門誌『ニュートリアンツ』に掲載された2017年の研究によれば、肥満の人々がカロリー制限のあるフルーツを主体にしたダイエットを行ったところ、肝機能のマーカーが改善したことが報告されています。

◇「古典的なデトックスダイエット」を実践、その効果は? 科学的に解説

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TIM MCDONAGH

  • 「古典的なデトックスダイエット」とは何か?
    …このタイプのプログラムは大抵カロリーと炭水化物を控え、さまざまな制限を設けています。私たちが試したもの――ドクター・ハイマンの10日間デトックスダイエット――が約束しているのは、食欲を抑えることでした。
  • 今回挑戦した人: 「メンズヘルス」US版アシスタント・エディターのタイラー・ダスウィック

「ぼくの身体が前よりきれいになったという気は、全然しませんでした。細心でも効率的でもエネルギッシュでもなくなりました。実際のところ、だるくて疲れ切ったような気分でしたね」と、ダスウィックは振り返ます。

科学的に言えることとして…、炭水化物など特定のタイプの食べ物を制限することで、それらの食べ物に対する食欲を抑制できるという証拠はいくつかあります。が、それによって生涯にわたる変化をもたらすことができるというのは、現実的ではありません。

「加工食品より自然食品を選ぶのは健康的な食生活の一部です。ですが、過度な制限というのはそれとは違います」と、栄養療法士で医学博士、管理栄養士のカリン・カラティナ氏は言っています。

しかし、デトックスダイエットを具体的に調査した研究は、非常に数が限られています。『ジャーナル・オブ・ヒューマン・ニュートリション・アンド・ダイエテティクス』に掲載された2015年の報告で、執筆者たちは次のように述べています。

「私たちの知る限りでは、市販のデトックス食品の有効性を評価する人間を対象にした無作為比較実験はまだ行われたことがないのです」と。

2019年、デトックス食品の無作為比較実験を行った研究者たちが、その結果を『ジャーナル・オブ・コンプリメンタリー・アンド・インテグレイティブ・メディスン』で発表はしています。それは裕福で健康な女性34人が市販の“デトックス”食品を、21日間試すことに同意し開始したのです。

ところが、デトックス開始から1週間経った時点で求められたアンケートにすべて答えたのは、そのうちの15人だけ。開始2週間後に再び行われたアンケートに答えたのは、わずか8人ということ。このように同じような境遇・環境下の集団を対象に行った小規模な研究であることを考えると、その調査結果から結論を導き出すのは不可能です(いずれにしても、無視してかまわないような調査結果でした)。

結論として…、「食べてはいけないと言われると、その食べ物にますます興味を持つようになる人がいるものです」と、カラティナ医学博士は警告しています。そして、医者に指示されない限りは、フルーツを断つことはやめるべきでしょう。フルーツには、食物繊維や病気と闘ってくれるその他の栄養素が含まれていることも多々報告されています。

◇「断続的な断食ダイエット(ファスティング)」を実践、その効果は? 科学的に解説

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TIM MCDONAGH

  • 「断続的な断食ダイエット(ファスティング)」とは何か?
    断食ダイエットは食事を制限する時間を決めて、そのほかの時間は普段どおりに――あるいはそれ以上に――食べます。私たちが選んだのは、「まる1日食事を断った後に、最低2日は普段どおりの食事をする」というものです。その謳(うた)い文句は、「若々しい容姿と活力を手に入れ、痛みや健康上の問題を軽減」というものです。
  • 今回挑戦した人: 「メンズヘルス」US版エグゼクティブ・ファッションディレクターのブライアン・ボイエ

「24時間、何も食べないことに不安がありましたが、エネルギー・レベルに変化はありませんでした。最初の2週間で体重が約2.3kg(5ポンド)減りました」と、ボイエは振り返ます。

科学的に言えることとして…、断続的な断食ダイエット(ファスティング)で、短期的な体重減が可能なのは確かです。が、単なる食事量の減少以上の効果があるのかどうかは、まだ証明されていません。「断続的な断食ダイエット(ファスティング)と、カロリー削減ダイエットの間にほとんど違いはありません」と言うのは、ウェイト・ニュートラル・ウェルネスのオーナーで、理学修士・管理栄養士のエリザベス・バーンズ氏です。

事実として、断続的な断食ダイエットの潜在的なメリットを示唆している研究のほとんどは、ラットなどの小動物を使って実験を行ったものが多いのです。

2020年に『JAMA』に掲載された人間を使った数少ない研究をご紹介しましょう。2つのグループのうちのひとつ、116人の成人に断続的な断食ダイエットを行いました。そこで片方のグループは1日に3食とおやつを決められた時間に摂ったのに対し、断続的な断食ダイエットのグループが食事をとったのは1日のうち8時間(正午から午後8時までの間)内だけにして、残りの16時間は何も食べませんでした。そうして12週間後、減った体重は断続的な断食ダイエットのグループのほうがやや多かったものの(平均約0.9kg(約2ポンド)で、もう片方のグループは約0.6kg<1.4ポンド>だった)、筋肉量も多く減っているので健康上の目立った改善があったとは言えるものではなかったのです。

「筋肉量が落ちるというのは、身体的に弱くなったことを意味しています。そこには、減った体重を脂肪のカタチで取り戻しやすくなるというリスクもあるのです」と、バーンズ氏は言っています。

結論として…、断食は間違いなく、体重減につながることは確かです。カロリーをほぼ摂取していないのであれば、人は日々のエネルギーを体内から得ようとするわけです。それはいつも食べるキャンディやクッキーを減らすぐらいのレベルではありません。ある種、食べることを我慢することは、自分自身の鍛錬でもあります。それは、本当の飢えと気分的な飢えの違いを知るのにも役立つかもしれません。つまり断食は、あなたの自制心を鍛えるトレーニングにもなることは確かと言えます。

* * *

以上、これらすべてのオピニオンも、特定の専門家からの意見の一例であることは確かです。他の専門研究者(医師)の中には、大いに推奨する人もいるでしょう。また、それを体験した人(「メンズヘルス」US版のスタッフ等)も、個人身体に起こったことに対する私的レビューであることも確かです。

なので、「こんなリスクもある」ということを心ながら、自分の身体に合うのは何かを見極めるためトライしてもいいかもしれません。もし、そこでリスクを感じながらも実践したという場合は、自分が信頼する医師および専門研究家に事前相談することをおすすめします。

Source / Men's Health US
Translation / Satoru Imada
※この翻訳は抄訳です。

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