【北京=羽田野主】中国国務院(政府)は25日までにロシア産の小麦の輸入を拡大すると発表した。検疫などの理由から地域を限定していたが、全生産地に広げる。ロシアは世界最大の小麦輸出国だが、米欧の経済制裁で影響を受ける可能性がある。中国が輸入を増やして支援する狙いがありそうだ。
中国税関総署が病害の発生していないロシア全地域で生産された加工用の小麦の輸入を認めると通知を出した。中国外務省の汪文斌副報道局長は25日の記者会見で「中ロは相互尊重と互恵の精神に基づき正常な貿易を展開する」と話した。
今回の取り決めは2月4日の中ロ首脳会談で合意した。習近平(シー・ジンピン)国家主席とロシアのプーチン大統領の会談後に公表した。ロシアのウクライナ侵攻の直前のタイミングで、有事対応をにらんだ措置ともいえる。
中国は小麦の生産量が世界一で、高級菓子などの生産のために米欧から一部を輸入していたにすぎない。もともとロシア産小麦の需要は高くなかった。
一方のロシアは米欧の制裁で経済減速が見込まれ、小麦の輸出に制限がかかる事態も想定される。中国の小麦の輸入拡大は有事の際にロシアに「貸し」をつくるきっかけになる。中国当局が厳しく管理するインターネット上では「ロシア産小麦を食べて応援しよう」「雪中に炭を送るべきだ」といった書き込みがある。
習指導部は米欧との関係のさらなる悪化を懸念して、ロシアのウクライナ侵攻を支持はせず、あいまいな態度をとっている。米欧のロシアへの経済制裁には明確に反対を表明している。
習指導部には中台統一に備えておく狙いもありそうだ。武力統一など進め方によってはロシアと同じように米欧から経済制裁を受ける可能性がある。制裁反対でロシアと足並みをそろえ、中国の有事には天然資源などが豊富なロシアの協力を得たい思惑もかいまみえる。
中国の食糧安全保障を強化する面もある。ロシアのウクライナ侵攻で小麦の供給混乱が懸念されるためだ。習指導部は米中対立の長期化をにらんで、国内での増産を目指すと同時に輸入ルートの多様化を進めている。中国にとってロシアへの影響力拡大と食糧安保の両方のメリットがある。
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