One-Netbookの「ONEXPLAYER AMD版」は、CPUにRyzen 7 5700Uを搭載した8.4型のポータブルWindowsゲーム機だ。価格は16万6,100円だが、現在はAMD祭りで14万9,490円で販売されている。
Ryzen 5000シリーズを搭載したUMPCはこれが世界初だが、Ryzen 7 5700Uはデスクトップ向けのRyzen 5000シリーズとは異なり、CPUコアはZen3ではなくZen2ベースとなっている。そのため実質Ryzen 7 4800Uのクロックアップ版であり、実質性能的には変わらない。
Intel版ではCore i7-1195G7またはCore i7-1185G7を搭載しているわけだが、そちらが4コア/8スレッドであるのに対し、AMD版は8コア/16スレッドと倍増。そのためCPUのマルチスレッド性能に関して言えば、AMD版の方が高い。
ただ、本機がターゲットにしているゲームのフレームレート=快適性が依存するのはCPUのシングルスレッド性能であり、さらに言えばGPU性能の方が重要であったりするため、残念ながら純粋なゲーム性能としてはIntelの最新GPUアーキテクチャ「Xe」を採用したIntel版の方が高い。実際に3DMarkなどのベンチマークを実施してみたが、Intelの方が1.7倍程度のスコアを記録した。
しかしゲームにおけるAMD版のメリットは皆無かというと、そういうわけではない。ゲームにおいてはAMD GPUの方がドライバの互換性に優れているからだ。家庭用ゲーム機はAMDかNVIDIAのGPUを載せているのである意味当然とも言えるのだが、特に新しくリリースされたゲームなどでは違いが顕著である。
例えば以下が1月15日にリリースされたばかりの「God of War」のスクリーンショット。Intel版はWindows 10で12月14日リリースのドライバ、「30.0.101.1191」、AMD版はWindows 11で2022年1月18日リリースのドライバ「22.1.2」を利用しているわけだが、Intel版は明らかにジオメトリとテクスチャ処理に失敗している。最新のゲームをすぐに楽しみたいのであれば、AMD版はより安心できると言える。
ただし、IntelはThunderbolt 4(USB4)を搭載しているため、別途外付けGPUを取り付けられる。外部GPUを使えばゲームグラフィックスの互換性問題も解消するし、性能向上も図れる。AMDは単純なUSB 3.2 Type-Cなので、このあたりは一長一短だ。
それ以外のハードウェアとしての使い勝手だが、こちらはIntel版とまったく同様なので詳細は省くが、据え置きゲーム機のコントローラに極めて近い操作感を実現したコントローラや、全く熱くならない放熱機構と筐体、ビューワ的な使い勝手を実現するキックスタンドの搭載、オプションのキーボードカバー搭載でオフィスPCとしても使えるギミックなどは秀逸だ。
ちなみにメモリは16GB、ストレージは1TBのNVMe SSD、液晶は2,560×1,600ドット表示対応の8.4型で、このあたりのスペックは一線級であり、PCとして使っている分には不満に覚えることはまずないだろう。絶対的なゲーム性能にはこだわらないが、最新タイトルやマイナーなタイトルを含む幅広いゲームの互換性を重視したいゲーマーにおすすめしたい。
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