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Wednesday, September 8, 2021

ビットコインが急落 法定通貨エルサルバドル初日に 動揺広がる - 朝日新聞デジタル

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 暗号資産(仮想通貨)の「ビットコイン」が7日、2割近くも急落し、この日世界で初めて法定通貨として導入した中米エルサルバドル国内や市場関係者に動揺が広がっている。導入を積極的に進めてきたブケレ大統領は「さらに買い増しした」とツイートした。

 ビットコインの価格は米東部時間の7日朝、1コインあたり5万ドル(約550万円)ほどで推移していたが、午前11時すぎに4万3千ドル台まで急落。同日の最高値と比べた下落幅は一時、約18%に達した。直後に4万7千ドル台まで値を戻すなど乱高下し、8日未明時点は4万5千ドル台で取引された。

 エルサルバドルは経済の安定化などを目的に為替変動が少ない米ドルを法定通貨としてきたが、今年6月、ビットコインを法定通貨とする法律を可決。7日から運用を始めた。

 ブケレ政権は、国民がビットコインを米ドルに換金できる「ビットコインATM」を国内各地に新設。換金のために1億5千万ドルの基金も設けた。

 さらにビットコインを管理し、支払いなどに使う電子的な財布にあたるデジタルウォレット「チボ」も開発。利用を促すため、このアプリをスマートフォンにダウンロードして登録すれば、30ドル相当のビットコインを与えると発表した。しかし、この日にアプリをダウンロードできたのは華為技術ファーウェイ)製の電話だけ。ブケレ氏は、グーグルやアップルにアプリを使えるようにするよう求めた。国民には「ゆっくり行こう」とツイッターで呼びかけた。

 ビットコインは、オンライン上で取引される暗号資産の一つで、紙幣や硬貨などはない。エルサルバドル経済は主に米国移住者からの送金に依存しており、昨年の送金額は約60億ドルで、国内総生産(GDP)の2割に達する。ブケレ氏はビットコイン利用により、国民が支払う送金手数料を年間4億ドルほど節約できると主張する。

 また、国民の7割が銀行口座を持っていないが、ビットコインは、スマートフォンで取引できるため、多くの国民を経済活動に取り込めるとしていた。すべての人が金融サービスを利用できるようにする「金融包摂」は、貧困の削減や所得格差の是正にも重要だとされ、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」でも掲げられている。

国民は批判的

 だが、国民は批判的だ。エルサルバドルの中米大学が8月に実施した世論調査では、7割がビットコイン法を廃止すべきだと回答。現地報道によると、7日には、首都サンサルバドルでビットコイン導入に反対するデモが行われた。

 ビットコインの急落について、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏は「市場が暗号資産の信用性を改めて意識し、ユーザーの広がりに制約が出ると解釈したのではないか」と指摘。コロナ禍の金融緩和で余った資金の投機対象になっているビットコインは「非常に脆弱(ぜいじゃく)な相場で、値動きが激しい状態が続く」と話す。(サンパウロ=岡田玄、ニューヨーク=真海喬生、稲垣千駿)

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