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Thursday, April 29, 2021

ヒトは恐れよりも喜びの叫び声に素早く反応する - HealthDay

ヒトの叫び声は、痛み、怒り、恐れ、楽しみ、悲しみ、喜びの6種類の感情に分類され、ヒトは、怒りや恐れから発せられる叫び声に対してよりも、喜びから発せられる叫び声に対してより素早く反応する可能性が高いとする研究結果が報告された。チューリッヒ大学(スイス)心理学部教授のSascha Frühholz氏らによるこの研究の詳細は、「PLOS Biology」に4月13日掲載された。

ヒト以外の霊長類や哺乳類は、社会的な衝突に巻き込まれたときや、捕食者などの脅威の存在を仲間に知らせるときに、しばしば悲鳴のような叫び声を発する。これに対して、ヒトの叫び声は、危険を知らせたり攻撃を伝えたりするためだけのものではない。ヒトは、絶望や喜びなどの強い感情を経験したときにも叫び声をあげる。しかし、叫び声に関する過去の研究では、主に警告的な恐怖の叫び声に焦点が当てられてきた。

そこでFrühholz氏らは今回、音響心理学、知覚的意思決定、および神経画像を用いた4つの実験を行い、ヒトが発する叫び声の種類と、その背後にある意味を探った。まず、12人の参加者が、さまざまな状況下においてヒトが発し得る6種類の叫び声と、恐怖や喜びなどの感情を交えないニュートラルな叫び声をあげてもらい、それを録音した。6種類の叫び声には、ポジティブなものとして楽しみ、喜びが、ネガティブなものとして悲しみ、痛み、恐れ、怒りがあった。次に、別の実験参加者に、それらの叫び声の警戒レベルを評価させたり、感情的な性質を評価した上で、6種類の感情にニュートラルを含めた7つのカテゴリーに分類させた。また、機能的MRIにより、参加者の脳が叫び声を知覚・認識して情報を処理し、カテゴリーに分類する過程をモニタリングした。

その結果、痛み、怒り、および恐れの叫び声は「警戒の叫び声」として、楽しさ、喜び、および悲しみの叫び声は「警戒を伴わない叫び声」として分類されることが明らかになった。また、参加者は叫び声を6つの感情のカテゴリーに明確に分類した。さらに、脳画像検査からは、警戒を伴わない叫び声を聞いたときは、警戒の叫び声を聞いたときと比べて、感情や記憶に関わる脳領域である前頭葉、聴覚、および大脳辺縁系の活性度が高まり、より多くの神経接続を示すことも判明した。

Frühholz氏は、「ヒトが、警戒の叫び声よりも警戒を伴わない叫び声に対してより素早くかつ正確に、より鋭敏な神経回路で反応することに驚いた」と話している。

これまで、ヒトや他の霊長類の脳は、脅威と危険の信号を叫び声という形で認識するようになっているものと考えられてきた。しかし、今回の研究結果は、ヒトの叫び声が進化の過程で多様化してきたことを示唆している。Frühholz氏は、「大きな嬉しさや楽しみのようなポジティブな感情を叫び声で示すのは、おそらくヒトだけではないだろうか。警戒の叫び声とは違って、ポジティブな感情から発せられる叫び声は長い時間の流れの中でその重要性を増しつつある」と述べている。

では、ヒトがポジティブな感情から発せられる叫び声により良く反応するようになったのはなぜなのか。Frühholz氏らは、「どんどん複雑化する社会環境の中で互いにコミュニケーションを取る必要に迫られていることが関係しているのかもしれない」と推測している。(HealthDay News 2021年4月16日)

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