ファイザーとビオンテックのワクチンは「メッセンジャーRNA(mRNA)」と呼ばれる新しいタイプ=ロイター
【ロンドン=佐竹実】英政府は2日、米製薬大手ファイザーなどが開発する新型コロナウイルスのワクチンの使用を承認したと発表した。7日にも医療機関などで接種を始める予定だ。米国も中旬にも接種が始まる見通しで、パンデミック(世界的大流行)収束に向けた期待が欧米で高まっている。
各地で開発が進むワクチンは臨床試験(治験)の段階で高い予防効果を示している。各国の規制当局は今回、治験段階からデータを審査するなどして手続きを早めた。収まらないパンデミック対策として官民が連携し、開発から1年足らずで実用化にこぎ着ける異例のスピード承認となる。
英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が2日に承認したのは、ファイザーと独ビオンテックが共同開発するワクチン。治験では95%の予防効果を確認した。英政府は同ワクチンを4000万回分調達する契約を結んでおり、介護施設の入居者や職員、医療従事者、高齢者などに優先的に接種する。
ワクチンはドイツのビオンテックの工場やベルギーのファイザーの工場で生産される。セ氏マイナス70度で保管する必要があるため、ファイザーが開発した設備で輸送。英国内の配送センターの2~8度の冷蔵庫に移してからは、5日以内に使用する必要がある。
低温で輸送・保管する性質上、各地に点在する介護施設や高齢者に行き渡らせるのは難しく、病院でまとめて接種できる医療従事者が優先される可能性がある。英政府は国民医療制度(NHS)を通じ、病院などに接種する体制を整えるよう通達を出した。ロンドン近郊の病院では、接種用の部屋を確保するなどの準備が進んでいる。
ファイザーとビオンテックのワクチンは「メッセンジャーRNA(mRNA)」と呼ばれる新しいタイプだ。米バイオ製薬のモデルナもこの技術を使ってワクチンを開発しており、いずれも高い効果を確認している。MHRAは、モデルナのワクチンについても審査を始めており、近く承認される可能性がある。
英政府はこれまで、7種類のワクチン、3億5500万回分を確保している。このうち英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大が開発するワクチンは1億回分を調達する。英アストラゼネカのワクチンは想定よりも少ない量の方が効果が高かったことを受けて追加の臨床試験(治験)を行う予定だが小規模にとどまり、同社は英国と欧州連合(EU)による承認のスケジュールに遅れはないとしている。
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