自動運転技術を開発しているフィンランドのスタートアップ企業 Sensible 4は4月14日(現地時間)、フィンランドの首都ヘルシンキにある主要駅のパシラ駅周辺で、3種類の自動運転車、オンデマンドアプリ、自動運転車の遠隔監視センターであるRCCを使った公道実験を開始した。
自動運転による公共交通実現に向けて50日間に渡って実施されるこの公道実験は、ヨーロッパにおける自動運転の早期実用化を目指すEUのFABULOS-projectが主導。交通量が多く、車両や自転車、路面電車も運行しているパシラ駅周辺で行なうことで、自動運転での走行だけではなく、バリューチェーン全体を一貫して実践することで課題を抽出。従来の交通手段に混じって実験することで、より現実的なデータが収集できるという。
自動運転を行なう車両は、Sensible 4が開発して日本の無印良品がデザインを手がけた自動運転シャトルバス「GACHA(ガチャ)」のほか、東風汽車のミニバン「CM7」、ルノーの超小型EV(電気自動車)「Twizy」の3種類。
それぞれSensible 4の自動運転システムによって同時に走行し、あらかじめ決められた駅周辺のルートを自動運転で周回する。また、現在は新型コロナウイルスの感染拡大を防止する外出制限で一般利用が不可能となっているが、GACHAはスペインのShotlが提供するアプリを使ってオンデマンドで呼ぶ機能も搭載している。
遠隔監視センターのRCCは今回の公道実験で最も新しい試みとなっており、離れた場所に設置されたRCCでは各車両から常に車両内外のカメラ映像やデータを受信。運行中はオペレーターが想定外の状況に常に対応できる体制を確立しており、人間の判断が必要な状況においてはRCCから車両に対して指示を送ることも可能となっている。Sensible 4では自動運転レベル4の運用を目指しており、遠隔監視システムとの連携を公道実験の大きな意義の1つと位置付けている。
この公道実験についてSensible 4 CTOのJari Saarinen氏は「交通量の多い市内における公道実験は自動運転技術にとって厳しい試験になるでしょう。一方、この50日間続く公道実験からは多くのことを学べますし、これらは最終的に弊社のお客さまにとっても大きなメリットとなります」と説明。
また、FABULOS-projectの主催団体であるForum Virium HelsinkiのMartijnse-Hartikka氏は、「われわれはSensible 4の自動運転技術が近く、ヘルシンキで実用化されるのを心待ちにしております。FABULOS-projectはまさにこうした自動運転技術が都市部における公共交通をより効率的かつ持続可能な交通システムに作り替えるのに必要不可欠であると確信しているからこそ、始まりました。自動運転技術がこうしてさまざまな人に触れられるようになってきたのは非常に喜ばしいことです」と述べている。
Car Watch,編集部:佐久間 秀
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